インド、インドネシア、カタール、サウジアラビア、UAEとワクチン・トラベルレーン開始

(シンガポール)

シンガポール発

2021年11月17日

「新型コロナウイルス」を所管するシンガポール政府タスクフォースは11月15日、同月29日からインド、インドネシアとそれぞれ、新型コロナウイルスのワクチン接種者を対象に相互に隔離なしの渡航を可能にする「ワクチン・トラベルレーン(VTL)」を開始すると発表した。また、12月6日からカタール、サウジアラビア、アラブ首長国(UAE)とも、それぞれVTLを始める。同5カ国とのVTL開始により、VTL対象国は21カ国・地域となる(日本は含まれない)。

VTLを利用したシンガポールへの入国者は、出発48時間前と空港到着時に検査を受けて、陰性であれば隔離を必要としない(注)。VTLを利用するにはVTL専用の航空便に搭乗する必要があり、今回の5カ国とのVTL開始でVTLを使った旅客の上限を、現行の1日当たり6,000人から1万人へ引き上げる。インドネシアとシンガポール間のVTLについては当面、ジャカルタとの航空便のみが対象となる。ワクチン・トラベル・パス(VTP)の申請は、インドとインドネシアが11月22日から、カタール、サウジアラビア、UAEが同月29日から受け付けを開始する。VTLの利用条件の詳細外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますはシンガポール民間航空庁(CAAS)の11月15日の発表を参照。なお、VTPは、国民と永住権者は取得不要(短期渡航者と就労ビザを含む長期ビザ保有者は必要)。

マレーシアとの陸路出入国者を対象にしたVTL、近日中にも開始の見通し

一方、政府タスクフォースの共同委員長を務めるガン・キムヨン貿易産業相は同11月15日の会見で、マレーシア南部ジョホール州とシンガポール間の陸路の出入国者を対象にしたVTLのような取り組みは「近日中、できれば2~3 週間以内の開始」に向け調整中だ、と述べた。シンガポールとマレーシアは11月8日に同月29日からVTLを開始すると発表していたが、マレーシアの首都クアラルンプールとシンガポール間の航空便のみを対象にするとしていた(2021年11月9日記事参照)。地元英字紙「ストレーツ・タイムズ」によると、マレーシア南部ジョホール州とシンガポールを結ぶ2つの連絡橋を通じた出入国者数は、新型コロナウイルス感染拡大前には、1日当たり合計で約41万5,000人に上っていた。

(注)48時間前の検査は、指定医療機関でのPCR検査か、11月11日午後11時59分から抗原検査(ART)結果も認められる。チャンギ空港到着時の検査はPCR検査。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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