欧州委、英国とアルメニアの新型コロナワクチン接種など証明書の同等性認定

(EU、英国)

ブリュッセル発

2021年11月01日

欧州委員会は10月28日、英国が発行する新型コロナウイルスワクチンの接種などに関する証明書(注)について、EUの共通枠組み「EUデジタルCOVID証明書」と同等と認める決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを採択した。今回の同等性認定により、英国はEUデジタルCOVID証明書の管理・認証システム「EUゲートウェイ」への接続を開始した。英国は既に入国時のワクチン接種などの確認で、EUデジタルCOVID証明書の利用を認めていた。また、多くのEU加盟国でも英国が発行したワクチン接種などの証明書の利用を認めていたが、29日からはEU全加盟国で、EUデジタルCOVID証明書と同条件で英国が発行した証明書を入国時に利用することができようになった。

英国が発行した証明書はEU加盟国内での利用も可能になるとみられる。現在、多くの加盟国はレストランやイベント、文化施設などの利用時に、EUデジタルCOVID証明書などワクチン接種証明書の提示を義務付けている。英国が発行する証明書も、EUデジタルCOVID証明書と同様に、「EUゲートウェイ」を通じた認証が可能となったことから、多くの加盟国の国内規制にも対応すると予想される。

欧州委は10月28日に、アルメニアの発行するワクチン接種等の証明書に対しても、同等性を認める決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを採択している。

EU周辺国を中心にEUデジタルCOVID証明書システム対応の域外国拡大

EUデジタルCOVID証明書は、EU域内〔欧州経済領域(EEA)に参加するアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーを含む〕の移動時の利用を想定して設計されたものだ。しかし、欧州委はEUデジタルCOVID証明書を世界標準にすべく、EU域外の第三国が発行する証明書に関しても、EUデジタルCOVID証明書のシステムとの技術的な互換性を審査した上で同等性を認定している。この認定を受けた域外国が発行する証明書のシステムは「EUゲートウェイ」に接続され、同証明書を加盟国への入国時などに利用することができる。また、相互承認されることから、EUデジタルCOVID証明書も当該国への入国時などに利用が可能となる。欧州委は10月18日の時点で28カ国・地域がEUデジタルCOVID証明書のシステムへの対応を検討していると発表しており(2021年10月19日記事参照)、欧州理事会(EU首脳会議)も、欧州委に対して同等性認定の審査を迅速に進めるように求めていた(2021年10月25日記事参照)。このことから、今後も同等性認定を受ける域外国が増えるとみられる。

欧州委が現在、同等性を認定している域外国・地域は、アルバニア、アンドラ、アルメニア、スイス、フェロー諸島、イスラエル、モロッコ、モナコ、北マケドニア、パナマ、サンマリノ、トルコ、ウクライナ、英国、バチカン市国の15カ国・地域。

(注)新型コロナワクチン接種証明書、回復証明書、陰性証明書を指す。英国が発行する証明書には、イングランド、ウェールズ、マン島が発行する「COVIDパス」、ジャージー島よびガーンジー島が発行する「2DバーコードAPI」、スコットランドが発行する「NHSスコットランドCOVIDステータス」、北アイルランドが発行する「COVID証明書」が含まれる。

(吉沼啓介)

(EU、英国)

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