北米向けコンテナ輸出、運賃の高止まり続く

(中国)

上海発

2021年11月18日

新型コロナウイルス感染拡大や世界的なコンテナ不足などにより、コンテナ輸送運賃は高止まりし、混乱が続いている。主力の中国から北米向け輸出は、コンテナ運賃(20フィートと40フィートコンテナ)が2020年5月以降上昇し、2021年8月をピークに下落はしているが、依然として高止まりしている(添付資料図参照)。貨物量も2020年8月以降、前年同月比で2桁以上の大幅な伸びをみせ、2021年7月以降は減少に転じたものの、高い水準を維持している。

中国航運交易所11月2日に発表した中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI、1998年1月1日=1,000の受注価格ベース)によると、10月のCCFIは3,291.25で、前月比3.7%上昇した。また、スポット市場を反映した上海輸出コンテナ総合指数(SCFI、2009年10月16日=1,000の決済価格ベース)も4,596.58と、0.1%上昇した。

中国交通運輸部は10月の北米向け輸出の状況について、輸送のピークシーズンに当たるため需要は依然として高い状況にあると分析した。その一方で、新型コロナウイルス感染拡大による港湾の混雑や、北米に輸送したコンテナが中国側に回送されないなどの問題により、需給は逼迫した状況とも指摘した。その上で、10月の上海から米国西海岸、東海岸向けの平均船舶スペースは満杯状態にあり、運賃指数は中国から米国西海岸が前月比0.7%上昇の2,258.19、米国東海岸向けが4.0%上昇の2,554.73となったと紹介している。

中国に進出している日系物流企業からは、前述のコンテナ未回送の状況に加えて運賃が高止まりし、船腹の確保も難しい状態にあり、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着くまでこうした状況が続くのではないかと懸念する声が上がっている。

日本向け貨物にも影響が出ている。港湾でのコンテナ消毒などで荷役のスピードが落ちていることに加え、日中間の船便が減便となった影響で、本来ならば積めるはずの貨物が積めない状況が発生している。契約運賃と現下の運賃で大幅な乖離が発生しており、期中での契約運賃の見直しを求められるケースもあるようだ。

(高橋大輔)

(中国)

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