2022年1月から最低賃金を月1万6,200コルナに引き上げ
(チェコ)
プラハ発
2021年11月11日
チェコ政府は11月5日、2022年1月1日から月額の最低賃金を現行より6.6%、金額で1,000コルナ(約5,200円、1コルナ=約5.2円)引き上げ、1万6,200コルナとすることを決定した。1時間当たりでは90.50コルナから96.40コルナに引き上げられる。
ヤナ・マラーチョバー労働・社会福祉相〔チェコ社会民主党(CSSD)〕は1万8,000コルナへの引き上げを求めていた。今回の決定に対して「周辺国のレベルにも及ばない」と遺憾の意を表明した。労働・社会福祉相によると、2022年1月からポーランドの最低賃金はチェコ通貨換算で約1万6,560コルナ、スロバキアは約1万6,440コルナで、依然としてチェコを上回る。また、チェコの平均賃金に対する2022年の最低賃金の割合は41.7%にとどまる一方、スロバキアでは57%に達するとしている。さらに、その割合について、チェコはEUで最低レベルにあると指摘した。
EU統計局(ユーロスタット)によると、2021年のチェコの最低賃金は、最低賃金を導入しているEU21カ国中のうち7番目に低いほか(添付資料図参照)、平均賃金に対する最低賃金の割合は、データ(2019年)を比較できる20カ国のうち19位にとどまっている(添付資料表参照)。
一方、アンドレイ・バビシュ首相(ANO 2011)は同日の記者会見で「内閣は産業貿易相、財務相、経済アナリストの見解を基に、現在の全体的な企業環境を考慮し、引き上げ幅を調整した」と説明した。
チェコの主要企業140社を会員とする国内最大の雇用者団体の産業連盟はインフレ分に相当する500コルナの引き上げ幅が妥当と主張していた。同連盟は、労働・社会福祉省が提案していた1万8,000コルナへの引き上げ案に関して、7月12日に声明を発表。その中で、2,800コルナの大幅な引き上げ案は、明白な経済分析と企業および労働市場への影響の評価を欠くものと批判した上で、新型コロナウイルス感染拡大がチェコ、欧州、世界経済に与える影響の全貌がいまだに明らかになっていない現状、またこの間も産業界がチェコの経済を支えてきた事実に鑑みれば、合意できないと断言していた。
(中川圭子)
(チェコ)
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