バイデン米政権初の州知事選、バージニアで共和党勝利、ニュージャージーは民主再選、メディア報道

(米国)

ニューヨーク発

2021年11月04日

米国の南部バージニア州で11月2日、州知事選挙が開催された。2022年の中間選挙の前哨戦として位置付けられた争いは、共和党候補が勝利を収めた。

バージニア州選挙局によると、同州知事選は、投資会社カーライルの最高経営責任者(CEO)を務めたグレン・ヤンキン共和党候補が50.82%の得票率を得て、民主党候補のテリー・マコーリフ前バージニア州知事(得票率48.40%)を上回った(米国東部時間11月3日午後7時現在)。選挙結果は確定しておらず(注)、マコーリフ候補は敗北を認めていないながらも、主要メディアはヤンキン候補の勝利を報じている。

ヤンキン候補は11月3日早朝に勝利宣言を行い、「われわれは州の軌道を修正し、就任初日から変化を開始する」と発言した。バージニア州では、現職のラルフ・ノーサム知事とマコーリフ前知事の民主党知事が計8年務めたことから、共和党は2014年以来の知事職奪還になる。2020年の大統領選では、民主党のジョー・バイデン氏がドナルド・トランプ前大統領(共和党)に10ポイントの差をつけて、バージニア州を制していた。しかし、米軍のアフガニスタン撤退(2021年8月17日記事参照)や経済対策の停滞(2021年11月1日記事参照)などを受け、バイデン大統領の支持率は就任当初の55%から43%に低下(11月3日付リアルクリアポリティクス調べ)し、今回選挙では民主党の苦戦が予想されていた。

CNNの出口調査によると、投票した有権者の中では、最も重要な課題として経済・雇用を挙げた割合が33%と最も高く、教育(24%)、税制(15%)、新型コロナウイルス対策(14%)が続いた(11月3日)。経済対策について、マーク・ワーナー上院議員(民主党、バージニア州)は、審議が停止中の超党派によるインフラ投資法案が9月に成立していれば、今回選挙で「われわれはより良い位置にいただろう」と述べている(ブルームバーグ11月2日)。教育をめぐっては、マコーリフ候補が学校教育に対する両親の関与を否定する発言を行ったことに批判が集まり、教育投資の重要性を訴えるヤンキン候補が子を持つ世帯の支持を受けたと分析している(「ワシントン・ポスト」紙電子版11月3日)。コロナ対策では、マコーリフ候補がワクチンの接種義務化を推奨する一方、ヤンキン候補は個人の判断に委ねるべきと主張していた(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版11月3日)。

こうした選挙戦の結果として、ヤンキン候補は、フェアファックス郡やラウドン郡など人口が集中する郊外で得票を伸ばし、トランプ前大統領の支持者が多い地方部でも支持を拡大した(政治専門誌「ポリティコ」11月3日)。ヤンキン候補は、トランプ前大統領の支持を得ながらも選挙協力を求めない戦略をとり、トランプ前大統領に批判的な中道派の有権者の支持拡大に成功したとみられる(AP通信11月3日)。

11月2日には、ニュージャージー州でも知事選が行われた。再選を狙う現職のフィル・マーフィー知事(民主党)が得票率50.1%を得て、共和党のジャック・チャッタレリ候補(得票率49.1%)を僅差で上回り(CNN、米国東部時間11月3日午後9時現在)、複数のメディアがマーフィー知事の再選確実を報じている。同州は、2020年大統領選でバイデン氏が15ポイント以上の大差で勝利している。

バイデン政権発足から初の州知事選で、共和党候補がバージニア州で勝利し、ニュージャージー州で善戦したことから、選挙予測を専門とするバージニア大学政治センターは、バイデン大統領の支持率が2022年も40%台前半で推移する場合、民主党が連邦議会の上下両院で多数派の座を失うリスクが高いと指摘している。

(注)バージニア州選挙局は、11月5日まで不在者投票を受け付けた後、11月15日に選挙結果を確定させる予定。

(藪恭兵)

(米国)

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