リー・シェンロン首相、新型コロナ・オミクロン株でコロナとの共存への動き一部後退に言及

(シンガポール)

シンガポール発

2021年11月29日

シンガポールのリー・シェンロン首相は11月28日、自身が書記長を務める与党・人民行動党(PAP)の党大会で演説し、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」を受けて、新型コロナとの共存について「前進する前に数歩、再び後退せざるを得ない」との可能性に言及した。その上で、リー首相は「最終的には共存する方法を見つけ、われわれがやりたいことを安全に再開できると確信している」と強調した。同国では同月22日から、国内の感染状況の沈静化を受けて、飲食店内で食事できる人(ワクチン接種者のみ)の上限を2人から5人へ引き上げるなど、感染防止策を緩和していた(2021年11月22日記事参照)。

新型コロナウイルスの政府タスクフォースは26日、南アフリカ共和国とボツワナ、エスワティニ、レソト、モザンビーク、ナミビア、ジンバブエでのオミクロン株が流行しているとの報道を受けて、感染予防的措置として、27日午後11時59分から同7カ国に過去14日間の滞在歴のある就労査証を含む長期ビザ保有者と短期渡航者の入国を停止すると発表した。この7カ国に過去14日間、滞在歴があるシンガポール国民と永住権保持者については、入国後に指定宿泊施設で10日間、隔離する必要がある(注)。

カタール、サウジアラビア、UAEとのワクチントラベルレーン実施延期

さらに、政府タスクフォースは28日、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)との間での「新型コロナウイルスのワクチン接種者を対象に相互に隔離なしの渡航を可能にする『ワクチントラベルレーン(VTL)』」について、同3カ国でオミクロン株が確認されたことに対する感染予防的措置として実施を延期すると発表した。政府タスクフォースは15日に、12月6日から同3カ国とそれぞれVTLを開始すると発表していた(2021年11月17日記事参照)。

一方、シンガポール民間航空庁(CAAS)は26日、タイとVTLを12月14日から開始すると発表した。12月16日からはカンボジア、フィジー、モルディブ、スリランカ、トルコともそれぞれVTLを始める。シンガポールへの入国の際に必要なワクチン・トラベル・パス(VTP)の申請は、タイからの渡航者について12月7日から、カンボジア、フィジー、モルディブ、スリランカ、トルコについて同月9日から受け付けを開始する。VTLの利用条件の詳細はCAASの11月26日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。なお、VTPはシンガポール国民と永住権者は取得不要で、短期渡航者と就労ビザを含む長期ビザ保有者が対象。

(注)渡航国・地域別の入国時の最新の検査と隔離措置の詳細は、入国管理局(ICA)のセーフトラベルのホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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