日韓経済人会議が開催、円滑なビジネス往来の再開を提言

(韓国、日本)

ソウル発

2021年11月04日

第53回日韓経済人会議(主催:日韓経済協会、韓日経済協会など)が11月2日、「日韓、ともに創造する未来」をテーマに、ソウルと東京のそれぞれの会場をオンラインで接続して、開催された(注)。

冒頭に主催者として、キム・ユン韓日経済協会会長(三養ホールディングス会長)、佐々木幹夫日韓経済協会会長があいさつした。キム・ユン会長は「日韓間には歴史認識などの問題があるが、これらの問題を将来に引き継ぐことはできない、ESG(環境・社会・ガバナンス)やDX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとした世界が直面する課題に日韓が協力して取り組まなければならない」と強調した。佐々木会長は「日韓の諸問題の解決の兆しはみえないが、民間交流の灯は守られ続けている、日韓の経済人の関係は揺るぎない」と述べた。

来賓として臨席したヨ・ハング産業通商資源部通商交渉本部長は、日韓は北東アジア地域の平和と安定のために協力しなければならないとし、半導体などのサプライチェーンの安定化や気候変動対策などを例示した。また、相星孝一駐韓日本大使は、地方創生や少子高齢化も日韓の共通の話題だと言及した。

全体会議では、韓国のイ・ドングン氏(サムジョンKPMG常務)が「ポストコロナ時代の企業のデジタル革新」についてプレゼンテーションを行い、企業が取り組んできた「新型コロナ禍」のDX成功事例を共有するプラットフォームを日韓企業間で構築することを提案した。また、クォン・ナクヒョン氏(水素融合アライアンス推進団対外協力センター長)は、気候変動問題に関し、日韓両国はエネルギーの輸入構造が類似していることから、国際的な水素流通、水素分野での国際標準などの協力によりウインウインの関係が構築できると述べた。

会議の最後に共同声明が採択され、「地球環境や脱炭素など、現代社会が直面する課題について、国際協調が重要で、日韓の経済人は長年協力していきた強固なパートナーシップのもとに新しい未来を創造していく」とし、両国政府に対する要望として、「円滑なビジネス往来が再開されるための効果的な対策が実行されること」を盛り込んだ。

(注)報道によれば、韓国側会場に98人、日本側会場に108人が参加した(「聯合ニュース」11月2日)。

(当間正明)

(韓国、日本)

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