次世代モビリティーのショーケースITS世界会議、ハンブルクで開催

(ドイツ、世界)

ミュンヘン発

2021年10月18日

ITS世界会議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)が10月11~15日、ドイツ北部ハンブルク市で開催された。同会議は欧州、アジア大洋州、米州の持ち回りで毎年開催されるもので、交通関連のシステムや情報・データ通信、関連サービスなどの技術開発、政策・市場動向などが議論される。企業などによる展示も併催される。

ハンブルク市の発表によると、今回のITS世界会議には1万3,000人を超える来場があった。テーマは「未来のモビリティーを今体験する」で、モビリティー(移動手段)に関して(1)自動車・バス・電車の自動運転、(2)モビリティー・アズ・ア・サービス(MaaS、注2)、(3)港湾・物流のデジタル化、(4)人工知能(AI)などを通じた交通流(注3)の最適化、(5)無人ドローンなど新技術による新サービス、(6)環境にやさしい持続可能な移動手段の6つの主要テーマを設定した。

今回のITS世界会議の展示スペースには400社以上が出展した。日本企業は約20社の参加によるジャパンパビリオンのほか、単独出展としてパナソニックやホンダなどが出展した。見本市会場での専門会議や企業出展に加え、市内では実証実験デモも行われた。14日には市民に無料で会場を開放して市民向けセミナーなどを行う「パブリックデー」も開催、市民約4,000人が参加した。

ハンブルク市は2030年までを見据えた「ハンブルクITS戦略PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を2016年に立案、約175のITS関連プロジェクトのうち42を戦略達成に重要と認定した。重要プロジェクトには、同市内を自動運転の電動小型バスが公共交通機関として時速25キロ以下で走行する「HEAT」プロジェクトや、量子技術を活用して信号機を操作し、ハンブルク港湾近郊のトラックなどを含む交通を効率化する「MOZART」プロジェクトなどがある。「MOZART」プロジェクトにはハンブルク港湾局、富士通などが参画している。

今回のITS世界会議はリアル参加型で、会場では入場時に新型コロナウイルスワクチン接種証明書または回復証明書の提示やマスク着用を求めるなど、厳格な感染拡大防止措置が取られた。同会議は1994年にパリで初開催後、2020年に新型コロナ感染拡大の影響で中止になった以外は、毎年開催されてきた。ドイツでの開催は1997年のベルリン開催以来。

次回のITS世界会議は2022年9月18~22日に米国ロサンゼルスで開催される予定。

写真 ITS世界会議の会場正式オープン前の日本パビリオンの様子(ジェトロ撮影)

ITS世界会議の会場正式オープン前の日本パビリオンの様子(ジェトロ撮影)

写真 会場では多くの専門会議が開催された(ジェトロ撮影)

会場では多くの専門会議が開催された(ジェトロ撮影)

(注1)ITSはintelligent transport systems and servicesの略で、高度道路交通システムとサービスの意味。

(注2)移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス。

(注3)道路上の自動車や自転車、歩行者の流れのこと。

(高塚一)

(ドイツ、世界)

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