サウジアラビアへの地域統括拠点(RHQ)移転は44社に

(サウジアラビア)

リヤド発

2021年10月29日

サウジアラビアに中東・北アフリカ(MENA)地域の地域統括拠点(Regional Head Quarter:RHQ)を移転する外国企業は、2021年10月時点で44社となった(添付資料表参照)。10月26~28日にリヤドで開催された投資会議「Future Investment Initiative」の中で明らかにされた(2021年10月29日記事参照)。2021年2月にRHQ制度(注)が発表された時点では、24社が移転を完了もしくは表明しており、この8カ月で20社増加したこととなる。

主な企業は米国ペプシコ(食品)、英国プライスウォーターハウスクーパース(コンサルティング)、オランダ・KPMG(会計)、米国ベクテル(エンジニアリング)、韓国サムスンC&T(エンジニア・建設)、スイス・ノバルティス(製薬)、米国イーライリリー・アンド・カンパニー(製薬)、英国ユニリーバ(日用品)、ドイツ・シーメンス(電子・電気・産業機械類)中国・中地海外集団(エンジニアリング)、中国港湾工程(エンジニアリング)など。

国別では米英が最多で、分野ではエンジニアリング、会計・コンサルティング・法律事務所、IT、医療・医薬品分野などが主だ。ただし、これら44社の多くは従来からサウジアラビアに拠点を有し、既存の拠点を手厚くして、RHQ化したケースがほとんどとみられる。また、RHQ制度で規制される政府や政府機関との契約行為は行わないとみられる企業も含まれている。

なお、ソフトバンクグループなどとともに、サウジアラビアのソブリンウェルスファンドであるPIFがビジョンファンドを通じて出資している、インドのオヨ・ルームズ(ホテル)、中国の滴滴出行(DiDi、タクシー配車サービス)などの企業も名を連ねており、政府が進めるRHQ誘致策に一役買っている。

(注)サウジアラビア政府が2021年2月に発表した新制度で、サウジアラビアにRHQを有しない外国企業は、2024年以降サウジアラビア政府および関係機関との契約行為ができなくなるという市場参入条件を伴う外資誘致政策。

(柴田美穂)

(サウジアラビア)

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