投資会議で地域統括拠点(RHQ)制度の概要が明らかに

(サウジアラビア)

リヤド発

2021年10月29日

サウジアラビアのリヤド市王立委員会(Royal Commission for Riyadh City)および投資省は10月27日、リヤドで開催された投資会議「Future Investment Initiative」(10月26~28日)の中で、中東・北アフリカ(MENA)地域の地域統括拠点(Regional Head Quarter:RHQ)制度の概要について正式に発表した。

RHQ制度は、サウジアラビア政府が2021年2月に発表した新制度で、サウジアラビアにRHQを有しない外国企業は2024年以降、サウジアラビア政府および関係機関との契約行為ができなくなるという市場参入条件を伴う外資誘致政策。

RHQの主な条件・定義は以下のとおり。詳細は投資省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(FAQsなど)を参照。

1.サウジアラビア以外の2カ国以上に拠点を有している多国籍企業の支店もしくは子会社であること。

2.サウジアラビア投資省の投資ライセンスに加え、RHQライセンスを取得すること。

3.RHQに義務付けられる以下の活動を行うこと。(1)MENA域内事業の地域戦略の策定・監督、(2)戦略の調整、(3)地域への製品・サービスの配置、(4)買収・統廃合の支援、(5)財務のレビュー。

4.RHQの管理機能には、(1)事業計画の策定、(2)予算編成、(3)事業調整、(4)新規ビジネス機会の検証、(5)域内市場、競合他社、事業運営の監視、(6)域内のマーケティング計画、(7)事業運営および財務報告、が含まれる。

5.上記3.の活動義務に加え、以下から3種類の活動を付加することが可能。

(1)販売およびマーケティング支援、(2)人事・人事管理、(3)研修、(4)財務管理、外国為替・資産管理、(5)コンプライアンスおよび内部管理、(6)会計・経理、(7)法務、(8)監査、(9)調査・分析、(10)アドバイザリー、(11)運営管理、(12)物流・サプライチェーンの管理、(13)国際取引、(14)テクニカルサポート、エンジニアリング支援、(15)ITネットワーク運用、(16)研究開発、(17)知財管理、(18)生産管理、(19)原材料・部品調達。

6.RHQには、フルタイムの社員が最低15人必要。うち3人はCクラスの経営幹部で、残りの12人はエグゼクティブ・ダイレクター、マネージング・ダイレクター、マネージャーもしくはそれ相応の肩書を有すること。

上記1.の多国籍企業の定義を満たさない企業の例外規定や、特定の条件を満たした場合の優遇措置もある。RHQライセンスの料金は年間2,000リヤル(約6万円、1リヤル=約30円)で、初年度のみ追加で1万リヤルのサービス料が必要。申請書類などは上記投資省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(FAQsなど)を参照。

なお、契約行為ができなくなる「政府関係機関」にどの政府系企業が含まれるかなどの詳細は、引き続き明らかにされておらず、投資省への個別の問い合わせが必須となっている。

(柴田美穂)

(サウジアラビア)

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