感染防止策の引き締めは1カ月延長へ、国内医療体制を保護

(シンガポール)

シンガポール発

2021年10月21日

新型コロナウイルスの政府タスクフォースは10月20日、シンガポール国内の医療システムを守るため、9月27日から開始していた感染防止策の引き締めを11月21日まで延長すると発表した。タスクフォースが9月24日に発表していた、飲食店内で食事ができる人数の上限引き下げなど感染防止策の引き締めは、10月24日に期限を迎える予定だった(2021年9月27日記事参照)。しかし、10月19日に新規感染者が3,994人と過去最高を更新しており、この感染の勢いを抑制して医療体制を守るため、感染防止策の引き締めの延期を決めた。

シンガポールで2回のワクチン接種を終えた人の割合は10月18日時点で84%。保健省によると、ワクチンの効果により感染者の98.6%が軽い症状または無症状だとしている。同国では現在、感染者の約7割が在宅治療で、残りの感染リスクの高い高齢者や重症者を対象に病院またはコミュニティケア施設で治療している(注1)。公立病院には、新型コロナウイルス感染症専用の病床が約1,650床、ICU(集中治療室)病床が200床あり、利用率がそれぞれ89%と67%に上っている。オン・イエクン保健相は同20日の会見でICUの病床について、必要であればさらに100床を増床可能だと述べた。

感染防止策の引き締め延長の影響を受ける法人・個人向けに、追加支援

政府タスクフォースは感染防止策の引き締め延長の影響を受ける飲食店や小売り、スポーツジムなどに対し、従業員の給与を一部支援する「雇用サポート・スキーム(JSS)」の政府負担25%の適用期間を11月21日まで延長する。また、公営の施設に入居する企業の賃料を0.5カ月分免除とするほか、民間商業施設の入居企業に対し賃料0.5月分の払い戻しを行う。このほか、タクシーやハイヤー運転手への支援として、1車両1日当たり5~10シンガポール・ドル(約425~850円、Sドル、1Sドル=約85円)の支援などを行う(注2)。今回の政府の追加支援は総額6億4,000万Sドルとなる。

(注1)同国では現在、(1)50歳以上のワクチン未接種者、(2)80歳以上のワクチン接種者、(3)1歳未満の乳児と1~4歳で在宅治療が不適切と判断された幼児を除く、感染者について在宅治療を基本(デフォルト)としている。

(注2)JSSの適用期間延長に関する詳細や、その他法人・個人向け支援の詳細は保健省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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