湖北省、武漢市などで消費刺激のクーポン配布

(中国)

武漢発

2021年10月14日

中国の湖北省は9月1日~12月31日の期間を対象とした消費喚起施策を進めている。同施策では、10億元(約176億円、1元=約17.6円)規模のクーポン券「湖北消費券」(省内の小売店舗や飲食店などで使用できる割引券)の発行や地場特産品の育成・補助、ナイトタイムエコノミー関連のイベント奨励、自動車の買い替え補助政策、小規模事業者への支援、ECなど新型消費の拡大支援、地方政府への一時金拠出などを実施するとしている。

この施策を受け、武漢市、襄陽市、宜昌市などでは「湖北消費券」の配布などの具体的な消費促進策を展開している。武漢市政府は9月18日に「武漢市の消費ポテンシャルを刺激し、消費のレベルアップを促進する若干の措置」を発表。中秋節、国慶節、双11(11月11日)、双12(12月12日)に合わせて「湖北消費券」を支付宝(Alipay)、微信(WeChat)、美団、雲閃付(Mobile QuickPass)の4つの電子マネープラットフォームを通じて計3億3,000万元分を配布する。そのほかにも、旅行・レジャー消費や旅行業の回復促進などの措置も盛り込んでいる。また、湖北省外の消費者に対しては、京東や美団優選のECサイトで「荊楚優品」(注)などの商品を購入する際に使用できるクーポン678万元分が配布される。

上述の「湖北消費券」などのクーポン配布は大きな効果を上げている。湖北省商務庁によると、国慶節期間中の10月6日までで2億4,700万元分の「湖北消費券」が利用され、12億2,300万元の消費を喚起する結果となった。また、10月1日から7日午後5時までの湖北省内の小売り関連企業36社の売上高は、前年同期比4.5%増の27億9,100万元となった。新型コロナウイルス禍前の2019年同期比でも2.3%増となっている。ほかにも、武漢市にある小売り関連の大企業8社の国慶節期間中の売上高は前年同期比16.1%増の5,247万元と、2019年同期比でも10.2%増となった(「湖北日報」10月8日)。

消費市場は回復途上、さまざまな政策で回復目指す

消費喚起施策を打ち出すことにより、国慶節期間の武漢市の消費は改善がみられるが、まだ道半ばだ。武漢市統計局の発表によると、2021年上半期の武漢市の社会消費品小売総額は前年同期比28.1%増の3,068億8,700万元だが、2019年同期比では12.4%減となっている。武漢市政府は上述の施策以外にも、消費拡大を目的とした方案を打ち出しており(2021年8月3日記事参照)、消費回復を図る姿勢をみせている。

(注)湖北省商務省が中心となって運営している湖北省農産品ブランド。

(楢橋広基)

(中国)

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