ティエラ・デル・フエゴフリーゾーンの存続期限、2038年まで延長

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年10月28日

アルゼンチン政府は10月23日、政令727/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、2023年末日に存続期限を迎える同国最南端のティエラ・デル・フエゴ州に設置したフリーゾーン制度の存続期限を2038年末日まで延長した。2039年以降はブラジルがマナウスフリーゾーンの税制優遇措置を継続することを条件に、その後15年間、制度を延長する。なお、マナウスフリーゾーンは2073年まで制度を存続させることが決まっている。

1972年の法律19640号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによって設置したティエラ・デル・フエゴフリーゾーンでは、事業に係るあらゆる内国税や、フリーゾーンから出入りする物品の輸出入に係る税が免除される。ティエラ・デル・フエゴ州はチリと国境を接する。人口を増やして国家の主権を確立することを目的に、フリーゾーンが同州に設置された。その結果、電気・電子機器の組み立てを行う企業が集積し、アルゼンチン電子端末製造協会(AFARTE)によると、国内で使用されている携帯電話やテレビ、エアコン、電子レンジ、自動車用電子機器の94%が同フリーゾーンで組み立てられている。

メルコスール域内のフリーゾーンや輸出加工区で生産された製品は、共同市場理事会(CMC)決議08/94号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に基づき原則として域外産品として扱われる。つまり、フリーゾーンで生産された製品をメルコスール各国に輸入する際には対外共通関税が課税されるということだが、ティエラ・デル・フエゴフリーゾーン、マナウスフリーゾーン、ウルグアイのコロニアフリーゾーン、ヌエバ・パルミラフリーゾーンについては、加盟国間でさまざまな例外規定を設けており、条件を満たせばメルコスール原産品として扱われる。そのため、ティエラ・デル・フエゴフリーゾーンでは、国内向けだけでなく輸出向けの電気・電子機器の組み立ても行っている。

政府は制度の存続期間延長に加えて、ティエラ・デル・フエゴ州の企業の新規事業への融資や助成などの原資を確保するため、新たにフエゴ生産基盤拡大信託基金(FAMP-FUEGUINA)の創設を政令725/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで定めた。フリーゾーン制度を利用する企業から毎月拠出金を徴収する形で運用する。

フリーゾーン存続期限の延長について、企業関係者からは「投資を行うための確実性をもたらすもので、良いニュースだ」と好意的な声が聞かれる。(10月18日付電子版現地紙「クラリン」)

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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