2020年大統領・連邦議会選挙におけるソーシャルメディア活用で政党の違いが鮮明に

(米国)

米州課

2021年10月07日

米国シンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは9月30日、2016年と2020年の大統領・連邦議会選挙の前後において連邦上・下院議員のソーシャルメディアの利用状況に関する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)を発表した。

それによれば、2016年の大統領・連邦議会選挙時では各議員のフェイスブックまたはツイッターへの投稿あるいはツイートの件数が20万7,009件だったが、2020年には31万5,818件に増加した。特にツイッターでの「いいね」などのリアクションが2016年の1,800万件から2020年には2億9,900万回に増大した。ツイッターでのシェアやリツイートも2016年の800万回から2020年には5,600万回と7倍に増加した。

2016年にフェイスブックやツイッターで使用された単語は、民主党・共和党議員を通じて、「今日(today)」が最も多く、民主党議員が1万1,830回、共和党議員が1万5,431回と同じような傾向だった。2020年には、民主党議員は「トランプ(trump)」が3万3,325回(2016年に8,609回)、「投票(vote)」が3万2,660回、「今日」が2万9,124回と多用した。一方、共和党議員は「今日」が1万5,192回、「日(day)」が1万3,663回、「大統領(president)」が1万3,509回と多用し、政党の違いがはっきりと出た。

また、2020年にソーシャルメディアで民主党議員が共和党議員よりも多用した単語としては、「公平性(equality)」「投票しよう(make a plan to vote)」「新型コロナウイルス感染(COVID cases)」「健康保険(health insurance)」などが挙がった。共和党議員が民主党議員より多用した単語は、「祝福(bless)」「イスラエル(Israel)」「(予算などの)打ち切り(defund)」「リベラル(liberal)」などが挙がっており、各政党の性格を表した。

2020年のフェイスブックやツイッターへの投稿で、エンゲージメント数の平均増加率(注2)が高かったのは、民主党議員では、「バレット判事」176%増(注3)、「米国大統領」155%増、「最高裁判事候補」136%増、「白人至上主義者」134%増、「郵政長官(注4)」130%増などで、共和党議員では、「合法的な得票数」350%増、「ハンター・バイデン(注5)」270%増、「人権」176%増、「中国共産党」157%増、「選挙の完全性」150%増などと各党議員の関心事項を反映した。

(注1)調査実施時期は、2016年9月8日~12月8日および2020年9月3日~12月3日。対象となったのは、698人の議員のフェイスブックの1,408のアカウントによる約16万6,000件の投稿と、669人の議員のツイッターの1,438のアカウントによる35万7,000件のツイート。

(注2)特定の単語を含まない投稿のエンゲージメント数に対し、特定の単語を含む投稿のエンゲージメント数の平均増加率。

(注3)故ルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の後任として就任したエイミー・コニー・バレット氏(2020年10月28日記事参照)。

(注4)2020年の大統領・連邦議会選挙では、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、郵便投票を含む期日前投票が注目されたが、郵政長官は郵便ポストの撤去、配達サービスの縮小などの政策を掲げていた。

(注5)ジョー・バイデン大統領の次男。父親の政治権力を利用したという疑いがもたれた。

(松岡智恵子)

(米国)

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