1~9月の貿易は輸出入とも前年同期比3割増

(中国)

北京発

2021年10月18日

中国・海関総署の10月13日の発表によると、2021年1~9月の貿易総額(ドル建て、以下同)は前年同期比32.8%増の4兆3,741億ドルとなった。うち、輸出は33.0%増の2兆4,008億ドル、輸入は32.6%増の1兆9,733億ドルで、貿易収支は4,275億ドルの黒字だった(注1)。国・地域別では、3大貿易パートナーであるASEAN、EU、米国との貿易額がいずれも前年同期比で3割増になった(添付資料表参照)。

海関総署の李魁文報道官は、第3四半期までの貿易が増加した要因として、国内経済の回復が続いていること、世界経済および世界貿易の回復、国際商品価格の影響を受けた輸入品単価の上昇などを挙げた(注2)。

一方で、世界の新型コロナウイルス感染状況など外部環境の複雑さや厳しさが増しているとも指摘した。海上運賃の高騰については、最近の関連政府部門の努力により、輸送能力の逼迫は緩和されているとした。

商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究所の白明副所長は、海上運賃の高騰について、自動車や医薬品などの利幅の厚い高付加価値製品はそのマイナスの影響を吸収することができるが、薄利多売型で労働集約的な付加価値の低い製品にとってはダメージが大きいと指摘した。その上で、ベトナムなどの東南アジア地域で新型コロナウイルス感染が抑制されるにしたがって、こうした低付加価値品の輸出受注は今後、中国からの移転がさらに進むだろうとの見通しを示した(「21世紀経済報道」10月14日)。

また、電力や石炭の需給逼迫により9月以降、一部の地方において電力供給制限が行われていることについて、李報道官は、中国の輸出入に与える影響について注視しており分析しているところだと述べた。一方、白氏は、一部の輸出企業は電力供給制限や生産制限の影響で契約の納期に遅れる可能性があり、それによって第4四半期の受注にも影響が出る可能性があると指摘している。

今後について、李報道官は、依然として不確実性が高いこと、比較対象となる前年同期の数値が高かったことなどから第4四半期の伸び率は減速する可能性があるとしつつも、2021年通年では比較的高い成長率を保つとの見通しを前期に続いて維持した。

(注1)元建てでは、総額が前年同期比22.7%増、輸出が22.7%増、輸入が22.6%増となった。

(注2)李報道官は、国際商品価格の上昇の影響を受けて、中国の1~9月の輸入単価は前年同期比11.3%上昇し、特に砂鉄や原油、銅などの商品の輸入平均単価の上昇幅が30%を超えたと説明した。

(小宮昇平)

(中国)

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