撤廃進むも継続するG20の新型コロナ関連の貿易制限措置、WTOが発表
(世界)
国際経済課
2021年10月29日
WTOは10月28日、G20の貿易関連措置に関する第26回監視報告書(モニタリングレポート)を発表した。パンデミック発生から2021年10月15日までに、新型コロナウイルス感染症への対応として導入された財貿易関連措置は144件に上る。このうち、105件(貿易関連措置全体に占める割合:73%)は貿易促進措置、残りの39件(27%)は貿易制限措置に分類される。貿易制限措置のうち、輸出制限措置が37件(貿易制限措置に占める割合:95%)を占める。
貿易制限措置39件のうち21件(うち、20件は輸出制限措置)は段階的に撤廃された。マスク、手袋、医薬品、消毒剤、食品などを対象とした輸出制限が徐々に解除されている。しかし、18件の貿易制限措置(うち、17件は輸出制限措置)が継続している。継続中の貿易制限措置によって、制限の対象となる貿易額(推計)は884億ドルに相当し、貿易促進措置(482億ドル)の適用対象となる貿易額の約2倍に達する。ンゴジ・オコンジョ=イウェアラWTO事務局長は、全ての国で、新型コロナワクチン、診断、治療への公平なアクセス確保の必要性を強調した上で、「貿易制限やその他の制約に妨げられることなく、これらの製品のサプライチェーンがスムーズに機能する必要がある」と、G20加盟国・地域に対し、パンデミック関連の貿易制限措置を緩和するよう要請した。
なお、新型コロナに関連しない貿易措置については、2021年5月中旬から同年10月中旬(注1)の期間に、貿易促進措置は25件、貿易制限措置は14件の導入が確認された(注2)。貿易制限措置の月平均の導入件数(2.8件)は、2012年以降で最低の水準となった。WTOの試算によると、2021年10月中旬の時点で、G20の継続中の輸入制限は約1兆4,000億ドル、G20の総輸入額の10.41%、世界の総輸入額の7.99%に相当する。
(注1)2021年5月16日から同年10月15日まで。
(注2)貿易救済措置を含まない。
(朝倉啓介)
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