9月の就業者数は13万8,000人減、外出制限措置の影響続く

(オーストラリア)

シドニー発

2021年10月15日

オーストラリア統計局(ABS)は10月14日、9月の雇用統計を発表し、就業者数(季節調整値)が前月から13万8,000人減少したことを明らかにした。ニューサウスウェールズ(NSW)州やビクトリア(VIC)州などでの外出制限措置の影響は引き続き大きく、就業者数は新型コロナウイルス感染拡大前となる2020年3月時点の水準を0.9%下回った。

就業者数は、フルタイム労働者が2万6,700人増加したものの、パートタイム労働者が16万4,700人減少し、全体では前月比1.1%減となった。失業者数は8,900人増とわずかに増加し、失業率は0.1ポイント悪化して4.6%となった。月間総労働時間は0.9%増の17億2,900万時間とわずかに増加したものの、労働参加率は0.7ポイント低下の64.5%と悪化した。また、不完全雇用率は0.1ポイント低下して9.2%、労働力の未活用率は0.1ポイント上昇して13.9%となった。

失業率を州別にみると、タスマニア州で0.7ポイント改善して4.8%となったほか、クイーンズランド州(0.5ポイント改善の4.9%)、西オーストラリア州(0.4ポイント改善の4.1%)、NSW州(0.2ポイント改善の4.6%)で改善がみられた。一方、北部準州で0.8ポイント悪化の4.2%となったほか、VIC州(0.7ポイント悪化の4.8%)、首都特別地域(0.5ポイント悪化の4.1%)、南オーストラリア州(0.2ポイント悪化の5.1%)では悪化した。

ABSは「9月の就業者数は、VIC州で12万3,000人減、NSW州では前月の17万3,000人減に続いて2万5,000人減となり、どちらも大幅に減少した」と説明した。ただし、両州では新型コロナワクチンの接種率に応じた制限緩和計画を打ち出しており、NSW州では10月11日から小売店や飲食店などが営業を再開した。VIC州でも2回のワクチン接種完了率が70%に達した段階で制限緩和を予定しており、10月18日の週には70%に到達すると見込まれている。なお、外出制限措置の影響を受ける労働者を支援する「COVID-19災害支払い制度」(2021年7月14日記事参照)について、連邦政府は9月29日、各州で2回のワクチン接種完了率が80%に達した段階から縮小し、その2週間後に支援を終了する方針を発表している。

(住裕美)

(オーストラリア)

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