感染再拡大のニューサウスウェールズ州、連邦政府と共同で企業救済

(オーストラリア)

シドニー発

2021年07月14日

オーストラリアのスコット・モリソン首相は7月13日、新型コロナウイルスの感染再拡大によって影響を受けているニューサウスウェールズ(NSW)州の企業に向けた救済策を発表した。NSW州では、州都シドニーでデルタ型変異株の感染が拡大し、6月26日から外出制限措置を課しているが(2021年6月29日記事参照)、感染者増加の傾向が続いていることから、7月30日までの期間延長を決定した。

NSW州政府はこれまで、フルタイム雇用者が20人未満で、年商7万5,000オーストラリア・ドル(約615万円、豪ドル、1豪ドル=約82円)以上、給与支払総額120万豪ドル未満の小規模企業に対して、外出制限の影響による売上高の減少割合に応じて、最大1万豪ドルの一時金を提供していた。

今回の発表では、連邦政府とNSW州政府が50%ずつ拠出し、外出制限の4週目から支援を拡大する。年商7万5,000豪ドルから5,000万豪ドルまでの企業や個人事業主などで、売上高が30%以上減少した場合、給与税額の40%相当(週1,500~1万豪ドル、個人事業主は週1,000豪ドル)を受け取ることができる。ただし、7月13日時点の雇用水準を維持することが受給の条件となる。

NSW州政府はさらに、前述の一時金制度を拡充するほか、小規模企業向け助成金、給与税の減免措置、商業施設におけるテナント立ち退き猶予措置などを提供する。

一時帰休労働者への支援も拡充

モリソン首相はまた、5月末にビクトリア州で感染が拡大した際に立ち上げた「COVID-19災害支払い制度」も拡充すると発表した。同制度は、連邦政府がホットスポットに指定した地域で居住または勤務する労働者のうち、1万豪ドルを超える流動資産を有していない者に対して、外出制限2週目以降、削減された労働時間が週20時間以上の場合に週500豪ドル(20時間未満は325豪ドル)を支払う。

NSW州でも、同制度は既に適用されており、外出制限3週目からは流動資産の条件を撤廃していた。今回の発表では、外出制限4週目以降、支払額を週600豪ドル(削減された労働時間が8時間以上20時間未満の場合は375豪ドル)に引き上げる。また、ホットスポット以外の地域においても、条件を満たす労働者は受給対象となる。なお、今後、他州で感染が拡大した際も同制度を提供するという。

(住裕美)

(オーストラリア)

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