トルドー・カナダ首相、国家レベルで標準化したワクチンパスポート導入発表

(カナダ)

トロント発

2021年10月22日

カナダのジャスティン・トルドー首相は10月21日、検討中だった国家レベルでの新型コロナウイルスワクチンのパスポート導入(2021年8月19日記事参照)について、州や準州との協力の下、標準化されたカナダのワクチン接種証明が利用できるようになったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。オンタリオ、ケベック、サスカチュワン、ノバスコシア、ニューファンドランド・ラブラドール各州と3準州で同日から利用可能で、他州でも間もなく利用が可能になる。

カナダでは、国内空港発の航空便、長距離鉄道、クルーズ船などの旅客船の12歳以上の全ての利用者に対して、10月30日からワクチンの完全接種を義務付けることにしており(2021年10月7日記事参照)、制度の詳細に関する発表が待たれていた。これらの利用者は今回の証明書を利用することが可能となる。

ワクチン接種証明書に記載される内容は以下のとおりで、ワクチン接種履歴以外の医療情報やその他の個人を特定する情報は含まれない。

○保有者氏名と生年月日

○保有者の新型コロナウイルスワクチン接種履歴に関する中立的かつ事実に基づいた説明

  • 投与回数
  • ワクチンの種類、製品名、ロット番号
  • ワクチン接種日
  • ワクチン接種履歴を含むQRコード(このほか、接種ワクチンに関する追加情報を含む場合がある)

証明書は、州や準州が発行するワクチン接種証明書に連邦政府の公式ロゴを加えることで標準化しており、スマート・ヘルス・カード規格に準拠したQRコードが生成される。この規格は、国際標準化機構(ISO)が承認し、カナダが承認した健康情報を保存するためのガイドラインで、アップルをはじめとした多くのハイテク企業が採用している。証明書はデジタル媒体のほか、紙での取得も可能となっている。

トルドー首相は21日のオタワでの記者会見で「連邦政府が承認し、州が発行するこのワクチン接種証明書が世界中の目的地で受け入れられることを確信している」と述べ(CBCニュース10月21日)、証明書が国外渡航時に使用可能となるよう、各国の承認を得るべく国際的なパートナーと協力しているとしたが、外国政府が同証明書を受け入れるかどうかは、各国の判断に委ねられることになる。

カナダ大手航空会社を代表するカナダ航空協議会のマイク・マクナニー会長は同日に声明を発表し、標準化されたアプローチを歓迎するとともに、「政府はわれわれと協力して、渡航禁止勧告の廃止や出発前のPCR検査義務化の廃止など、世界的な慣行に沿って他の渡航措置を改正できるか否かを決定することが不可欠だ」と述べた。

(飯田洋子、大塚真子)

(カナダ)

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