通関上の問題は減少するも、不正取引・並行品輸入が増加

(ロシア)

モスクワ発

2021年10月29日

ジェトロが在ロシア日系企業を対象に7~8月に実施した通関アンケート結果(10月21日発表)によると、過去1年間のうちに通関問題・トラブルに直面したと答えた企業の割合は40%(前回調査比5ポイント減)だった。

主な問題・トラブル事項は、「追加文書の提出要求」「抜き打ち検査・事後調査の件数・頻度増加」「税関からの照会件数・頻度増加」が前回調査と同様に上位にランクインしたが、前年度に比べてそれぞれ12ポイント、10ポイント、7ポイント減少した。その一方、「関税・VAT還付請求の不承認・却下」(6ポイント増)、「課税標準価格(通関申告価格)の修正要求」(3ポイント増)が前回に比べて増加した(添付資料図1参照)。

問題・トラブルの発生場所は、シェレメチェボ税関(日本からの航空貨物の主要取り扱い施設のモスクワ・シェレメチェボ空港を管轄)と、バルト税関(サンクトペテルブルク港を管轄)、モスクワ州税関が上位に挙がった。前年度よりも総じて減少したが、極東地域の税関での発生が増加した(添付資料図2参照)。

通関行政の取り組みに対する評価はわずかながら増加した。「大きな改善がみられており高く評価する」と「一定の改善がみられており、ある程度評価する」を合わせた割合は、前年比8ポイント増の30%となった。

他方、並行輸入や不正輸入に対する懸念が増加している。並行輸入品は29%(前年比12ポイント増)、不正取引(注)は27%(同7ポイント増)と、それぞれ前年よりも増加した。不当に安い販売価格によって正規品取扱業者の活動が阻害される事例や、Eコマースで出所不明の製品流通が確認された事例があった。

通関アンケートは、モスクワ・ジャパンクラブ商工部会通関委員会(事務局:ジェトロ)がサンクトペテルブルク日本商工会の協力を得て、在ロシア日系企業を対象に毎年行っている。今回は62社(製造業8社、非製造業54社)から回答を得た。

(注)通関時の不正申告、密輸を含む、正規の通関を経ずにロシア市場へ流入する商品の取引。

(菱川奈津子)

(ロシア)

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