内閣改造で副大統領派の閣僚をシャッフル

(ケニア)

ナイロビ発

2021年10月04日

ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は9月29日、3人の政府長官の所管省庁を入れ替えるなどの内閣改造を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。エネルギー省のチャールズ・ケーター長官を地方分権省長官に、地方分権省のユージン・ワマルワ長官を国防省長官に、国防省のモニカ・ジュマ長官をエネルギー省長官にそれぞれ異動させた。

現地報道によると、突然の内閣改造は2022年8月に予定されている大統領選挙が背景にあると言われている。現在、2期目のケニヤッタ大統領は憲法で3選が禁じられており、自身は立候補できないものの、亀裂が生じているウイリアム・ルト副大統領に大統領職を明け渡したくない思惑が根強いことが連日報道されている。今回、ケニヤッタ大統領が異動させたケーター長官はルト副大統領の側近だ。要職のエネルギー省長官から地方分権省長官に異動させた上、地方分権省がもともと所管していたケニア乾燥地域事業(当該国営企業の運営を含む)を公共サービス・ジェンダー省に移管し、ケーター長官の権限を弱めたと考えられている。

一方で、公共サービス・ジェンダー省には、上述のケニア乾燥地域事業を移管しただけでなく、労働・社会保護省が所管していた社会保護・年金・高齢者対策事業も吸収することになったため、公共サービス・ジェンダー省のマーガレット・コビア長官の権限は内務省長官に次いで2番目に強力なものとなった。

内閣改造が行われた9月29日は、電気代が高過ぎるとしてエネルギー政策の転換を求める専門家チーム(大統領タスクフォース)の報告書が提出された日だった。報告書では、非効率な管理体制を改善することで、4カ月後のクリスマス前までには電気料金の平均額を1キロワット時24ケニアシリング(約24円、Ksh、1Ksh=約1.0円)から16Kshに33%縮減できると提言している。ケーター長官がエネルギー省長官を罷免された理由は、電気代の高コスト構造を是正できなかったためと政府高官は説明している。

(西川壮太郎)

(ケニア)

ビジネス短信 7383d7f43e592fb4