カンボジア、投資誘致拡大を狙い、新投資法を施行

(カンボジア)

プノンペン発

2021年10月21日

カンボジアで会社を設立する企業への投資優遇策をまとめた、新投資法(NS/RKM/1021/014)が10月15日に施行され、同時に現行の1994年法および2003年改正法は無効となった。同法は、新規投資誘致および既存投資企業のビジネス拡大を一層促進する内容に修正された。カンボジア経済の主軸として期待する分野・業種や、税制優遇の適用範囲および選択肢の拡大、投資家や投資資産の保護などが明記された。

優遇措置が適用される原則18分野・業種の「投資プロジェクト」をカンボジア開発評議会(CDC)などに登録し、登録証明書が発行され次第、優遇措置の適用となる。優遇措置適用期間は投資分野・業種等により、3年から9年間となる。運用細則は別途、当該法に関連する閣僚会議令で定められる。主な改正点は次のとおり。

【主な改正点(注1):法律仮訳は添付資料参照】

○申請から登録完了までの期間が20営業日に短縮。(12条)

○投資家保護策として、資産、知的財産、権利などの保護。(5章)

○投資優遇18分野・業種の設定。カンボジア発展に寄与する分野および投資活動と判断されるものは当該18業種以外でも優遇措置の対象となりうる。(24条)

○基本的税制優遇措置として2つのオプションから選択が可能。両オプションに共通し、特定の条件に応じて前払い税(注2)、ミニマム税(注2)、輸出税が免税となる。(26条)

オプション1:

優遇措置適用期間中の事業所得税の免除および事業所得税の免除期間終了後も累進的割合(注3)で事業所得税の減額など。

オプション2:

現行の税制で規定されている特別償却によって資本支出を控除する権利、特定費用について、9年以下の期間、最大200%の控除を受ける権利など。

○追加税制優遇措置(27条・28条)

・現地生産の生産資材の購入にかかる付加価値税の免除。

・特定の活動(研究開発、人材育成、福利厚生拡大など)は課税標準から150%の控除。

・閣僚会議令、財政法などが別途定める特別優遇措置の適用。

○旧法および旧閣僚会議令に基づく適格投資プロジェクト(QIP、注4)は、新投資法および関連する閣僚会議令上のQIPとみなされる。新投資法施行以前にカンボジア開発協議会から事業所得税の免除が承認されたQIPは、優遇措置適用の残存期間を上限として免税が適用される。(40条)

(注1)原文と解釈が異なる場合は原文を優先。

(注2)カンボジアの税制についてはジェトロ・ウェブサイトを参照。

(注3)納付すべき事業所得税総額に対して、最初の2年間は25%、その次の2年間は50%、最後の2年間は75%を支払う。

(注4)カンボジア開発評議会(CDC)などから登録証明書の発行を受けた投資プロジェクト。

(春田麻里沙、トー・タイ、キアヌー・ポン)

(カンボジア)

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