WTO、2021年の世界貿易量の予測引き上げ

(世界)

国際経済課

2021年10月05日

WTO104日、世界貿易見通し(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、2021年の世界貿易量(輸出入平均)は前年比で10.8%増と、3月の予測(8.0%増)から上方修正した。2021年上半期の世界経済の回復に伴い、同期の世界の貿易量が新型コロナウイルスのパンデミック前の水準を上回ったことを反映した。

2021年の輸出量の伸び(予測値)を地域別に見ると、アジアで14.4%増と最も高く、次いで、欧州(同9.7%増)、北米(同8.7%増)、南米(同7.2%増)、アフリカ(同7.0%増)、中東(同5.0%増)、CIS(同0.6%増)となった。全ての地域でプラス成長となったものの、地域格差が顕著で、一部の開発途上国地域では世界平均を大きく下回る結果となった。

WTOのンゴジ・オコンジョ・イウェアラ事務局長は「貿易はパンデミックと闘う上で重要なツールだ。直近の世界貿易の力強い成長は、それが世界経済の回復にとっていかに重要な支柱であるかを示している」と述べる一方、「ワクチンへの不公平なアクセスは、地域間の経済格差を拡大させている」とし、貿易の成長とともに、ワクチンの公平な流通が世界経済の回復維持に不可欠であることを指摘した。

2021年第2四半期(46月)の財貿易量(輸出入平均値、季節調整値)は前年同期の大幅な落ち込みを反映し、22.0%増加した。金額基準での月別商品別の推移(注)を見ると、ほとんどの商品でプラス成長だったものの、繊維では46月の全てでマイナスとなった。自動車製品は45月ともに回復を維持していたが、6月には伸び率の幅が大幅に減少した。世界的な半導体不足が自動車産業に与える影響が危惧される。

世界のサービス貿易は旅行が引き続き低調なことから減速が続く。一方、金融とその他サービスについては第2四半期にプラスに転じる可能性がある。なお、第2四半期のサービス貿易に関するWTO統計は、10月下旬に公表予定。

(注)WTO推計値。財貿易の最新データはこちら外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(伊尾木智子)

(世界)

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