米ガス大手エアープロダクツ、ルイジアナに45億ドル規模の水素製造施設建造へ

(米国)

ヒューストン発

2021年10月19日

米国のガス大手エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ(本社:ペンシルベニア州アレンタウン)は10月14日、ルイジアナ州東部に45億ドル規模のブルー水素(注1)製造施設を建造すると発表した。

エアープロダクツはこの施設の建造と所有、運営を行い、ルイジアナ州アセンション郡で日量7億5,000万立方フィート(約2,124万立方メートル)以上のブルー水素を製造するとしている。施設は2026年に稼働開始の予定だ。ブルー水素は、炭化水素を原料に製造され、製造プロセスで発生した二酸化炭素(CO2)は回収・貯留(CCS)される。

ブルー水素の一部は、エアープロダクツが有する広範なメキシコ湾岸の水素パイプラインネットワークを通じて供給される。このネットワークは、同社によると世界最大の水素パイプラインシステムとされており、テキサス州のガルベストン湾からルイジアナ州ニューオリンズまでの700マイル(約1,127キロ)以上に及んでいる。

同施設で発生したCO2の約95%は回収・圧縮の上でパイプラインにより安全に輸送され、施設の東35マイル(約56キロ)まで延びるパイプライン回廊に沿って配置された複数の内陸貯留サイトに送られる。年間500万メートルトン以上のCO2がルイジアナ州の地表から約1マイル(約1,609メートル)下に確保された地質学的間隙空間に恒久的に貯留される。

この施設で製造されたブルー水素に窒素を化合することにより、ブルーアンモニア(注2)も製造し、輸送・モビリティー分野を含む世界の水素市場向けに提供することとしている。

米国での水素製造施設に関する類似の事例として、コーパスクリスティー港湾庁(テキサス州コーパスクリスティー)と石油ガスのパイプライン輸送を担うハワード・ミッドストリーム・エナジー・パートナーズ(テキサス州サンアントニオ)が8月12日に、ハワードのハベリナ製油施設を地域初のカーボンニュートラル水素製造施設に転換する覚書を締結したことを発表している(2021年8月17日記事参照)。

(注1)ブルー水素は、天然ガスや石炭など化石燃料から副次的に生産される水素のうち、製造過程で出る二酸化炭素(CO2)が炭素回収・有効利用・貯留技術(CCUS)によって大気に排出される前に回収されるものを指す。

(注2)ブルーアンモニアは、天然ガスから製造されるアンモニアのうち、製造過程で出るCO2がCCSによって分離・除去されたものを指す。

(沖本憲司)

(米国)

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