米テキサス州の製油施設、カーボンニュートラル水素製造施設に転換へ
(米国)
ヒューストン発
2021年08月17日
米国のコーパスクリスティー港湾庁(テキサス州コーパスクリスティー)と石油ガスのパイプライン輸送を担うハワード・ミッドストリーム・エナジー・パートナーズ(テキサス州サンアントニオ、以下、ハワード)は8月12日、ハワードのハベリナ製油施設を地域初のカーボンニュートラル水素製造施設に転換するための覚書を締結したことを発表した。
ハベリナ製油施設は、地元の製油所の排ガスから生成される水素と水蒸気メタンの改質から得られる水素との組み合わせにより、日量約6,000万立方フィート(約170万立方メートル)の水素を生成している。
本覚書に基づき、ハワードは、温室効果ガス(GHG)の大気放出を回避し、ハベリナ製油施設でGHGを回収する予定だ。両者は、残留二酸化炭素(CO2)の用途およびCO2の回収・貯蔵の特定について協力する。回収されたCO2は、鉄鋼などの生産にCO2を必要とする産業、またはセメントのようにCO2を取り込む産業に活用される。
コーパスクリスティー港は、CO2を排出する産業が密に集積していることから、国内有数の炭素回収・隔離ハブとなることに適している。テキサス大学オースティン校の識者らは、テキサス湾岸の地質をマッピングし、この地域が加圧CO2の注入と貯蔵に適していると判断している。コーパスクリスティー港は、メキシコ湾の沖合にある恒久的な地中貯留層にCO2を圧入するためのインフラ開発に取り組んでいる。
コーパスクリスティー港湾庁のショーン・ストローブリッジ社長は「最新の『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書』(注)で求めている義務は明確で、エネルギー部門がこれを単独で追うことはできないが、模範を示して主導する必要がある」「米国のエネルギー港としてのわれわれの将来は、既存の顧客のニーズに応えるために、拡張性のある炭素回収・貯蔵ソリューションを構築し、より多くのテキサス州のガスをカーボンニュートラル水素に変換して世界市場に提供することから始まる」と述べている。
(注)「気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)」による最新の報告書については環境省サイトを参照。
(沖本憲司)
(米国)
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