大規模多国籍企業に対しても9%の法人税率を10年間維持

(ハンガリー、世界)

ブダペスト発

2021年10月25日

ハンガリー政府は、10月8日にパリで行われた「BEPS(税源浸食と利益移転)に関するOECD/G20包摂的枠組み」の国際交渉において、10年間の税率移行期間中は企業の有形資産や給与支出に対して課税を行わない特別税率を適用し、結果として国内の法人税率をこれまでどおりの9%に維持できるようにすることを条件に、法人税の国際的な最低税率の設定に関する合意に加わったと、政府ホームページを通じて10月11日に発表した。

OECDの法人税の最低税率設定に関する提案に関して、これまでハンガリー、エストニア、アイルランドの3カ国は協定への合意を拒否してきた。ハンガリー政府はこれまでの協議の中で、合意の条件として国内での増税は行わないこと、また、この法人税最低税率設定が、ハンガリー経済の国際競争力の優位性を損なわず、ハンガリー人の雇用を保護するものになるべきだといった条件を、一貫して主張し続けていた。

この国際協定では、米国の大手テクノロジー企業を含む、グループ連結売上高が7億5,000万ユーロを超える大規模多国籍企業に課される最低法人税率を15%に設定するとしているが、ハンガリーの法人税率は9%とEU加盟国で最も低く、政府は投資を呼び込むための競争力を失うことを懸念し、この協定に強く反対していた。

今回これら3カ国が協定に合意したことで、国際的な税制改革は、OECDおよびG20の全ての国で支持され、またEU全加盟国を含む136カ国が合意したことになった。ハンガリーのバルガ・ミハーイ財務相はソーシャルメディアを通じて、政府はハンガリーの利益を確実に主張することに成功したとコメントした。

国際的最低法人税率は、2022年に多国間条約を締結した後、2023年から導入される予定だ。

(バラジ・ラウラ、清部陽介)

(ハンガリー、世界)

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