欧州産業界、EU米貿易技術評議会への強い期待を示す

(EU、米国)

ブリュッセル発

2021年10月01日

EU・米国間の新たなハイレベル会合となるEU・米国貿易技術評議会(TTC)の第1回会合が9月29日、米国で開催された(2021年9月30日記事参照)。開催を前に、複数の欧州の産業団体が声明を発表し、TTCに対する欧州産業界の関心、そして通商、WTO改革、気候変動対策といった分野でのEU・米国の関係強化への期待が非常に高いことがうかがわれた。

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は同29日、米国商工会議所とともに声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、「産業界はEU・米国間のハイレベル対話の場を求めていた」と歓迎し、TTCの成功に向けて、産業界も協力する姿勢を示した。そして、民間航空機紛争やEU・米国が報復的に互いに関税を賦課している鉄鋼およびアルミニウム紛争を解決し、双方の長期的な産業競争力の基盤を築くことによって協力していけると、両者の関係前進を強く望んだ。

欧州自動車工業会(ACEA)は9月27日、米国自動車政策評議会(AAPC)などEU・米国の自動車関連4団体の共同声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、TTCによって両者の貿易・経済関係の深化を期待した。4団体は、自動車業界がゼロエミッション車への移行と、コネクテッドカーや自動運転技術の急速な発展などにより「包括的な変革期の真っただ中にある」とした。また、半導体不足などサプライチェーン上での課題や高騰する物流コスト、鉄鋼・アルミニウム製品に対する報復関税の賦課といった「向かい風」を受けている自動車業界の苦境を訴え、TTCをEU・米国間の重要かつ緊急の課題に対応する場にするように促し、自動車業界として貢献できる重点分野の特定などを進めているとした。

欧州工作機械工業連盟(CECIMO)は9月28日、小売・卸売業界の団体ユーロ・コマースなど9団体とともに共同声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。10団体は、鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税が発端となり、食品分野など紛争に直接関連しない製品にまで影響が及んでいるとし、「新型コロナ危機」の影響から脱却しようとする各業界への支援、そしてEUへの投資を拡大させるためにも、紛争の包括的かつ早期の解決を強く要望した。

欧州機械・電気・電子・金属加工産業連盟(ORGALIME)も同28日に声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、同様にまず貿易紛争の解決を求めた。そのほか、ビジネス目的の渡航客の往来の自由、WTO改革や国際標準、人工知能(AI)やサイバーセキュリティ分野においても協力関係が進展することを要望した。さらに、適合性評価や工業製品への関税の撤廃について貿易協定の交渉を進展させることや、気候・クリーン技術に関する作業部会の立ち上げにも支持を示した。

(滝澤祥子)

(EU、米国)

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