「重大災害処罰等」に関する法律の施行令を公表

(韓国)

ソウル発

2021年10月06日

韓国政府は9月28日、「重大災害処罰等に関する法律の施行令」を公表した。重大災害処罰法は、「重大産業災害」および「重大市民災害」が発生した場合、事業主、経営責任者および法人などを処罰(両罰規定)することにより、労働者と一般市民の安全を守り、企業の安全管理システムの不備によって発生する重大災害事故を事前に防止することを目的としている(2021年1月22日記事参照)。同法は2022年1月27日に施行の予定。

1.「重大産業災害」の判断基準となる職業性疾病者の範囲(第2条、雇用労働部)

化学的因子による急性中毒に準ずる疾病を職業性疾病者の範囲に含める。化学的因子は有機化合物、金属類、酸およびアルカリ類、ガス状物質類、許可対象有害物質、金属加工油など199種類の有害因子とリンなどの禁止物質を指す。

2.「重大市民災害の適用対象」となる公衆使用施設の範囲(第3条、国土交通部)

延床面積2,000平方メートル以上の地下街、総延長500メートル以上の防波堤、床面積1,000平方メートル以上の営業所、床面積2,000平方メートル以上のガソリンスタンドおよび充電スタンドなど。

3.事業主および経営責任者などが講じる安全・保険確保義務の詳細内容(雇用労働部、環境部、国土交通部など)

(1)重大産業災害関連(第4条~5条、雇用労働部)

安全健康管理体制および履行の体制などを構築する(添付資料表参照)。

(2)原料・製造物関連(第8条~9条、環境部)

有害性が高く、重大市民災害が懸念される原料・製造物については、有害・危険要因の定期点検および危険の兆候への対応措置を講じる。

(3)公衆利用施設・公共交通手段関連(第10条~第11条、国土交通部)

公衆利用施設などに対する安全計画の策定、履行、請負事業の安全確保のための基準、手続の策定および措置の点検を講じる。

(4)安全保健教育の受講(第6条~7条、雇用労働部)

対象とされた場合、安全管理体制の構築など安全・健康に関する経営対策、重大産業災害の原因分析と再発防止策などを含めた安全保健教育を20時間以上受講する。

4.重大産業災害発生事実の公表(第12条、雇用労働部)

公表対象は、重大産業災害で処罰が確定した企業などを対象とする。公表内容は、事業所の名称、災害発生の日時・場所、被害者の人数、災害の内容と原因、該当事業所の直近5年以内の災害発生の有無などとする。

(当間正明)

(韓国)

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