「重大災害処罰法」、国会本会議を通過

(韓国)

ソウル発

2021年01月22日

韓国国会は1月8日、第383回国会(臨時会)第2次本会議で、事業所内の安全管理の不十分により発生する死亡事故を防止するための「重大災害処罰などに関する法律案」(以下、重大災害処罰法)を議決した。

韓国では、ガス窒息死や圧死など産業災害による死亡事故や、加湿器殺菌剤事件など、市民災害による死亡事故などが社会的な問題として指摘されている。重大災害が発生した場合の事業主と経営者責任などに対する処罰、行政罰、懲罰的損害賠償責任などを規定することで重大災害を予防し、労務提供者などの安全確保を目的に立法した。今回の法により、事業主または経営責任者などが安全および保健確保義務に違反し、重大災害により死亡事故が発生した場合、1年以上の懲役または10億ウォン(約9,000万円、1ウォン=約0.09円)以下の罰金(併科可能)、負傷または疾病の場合、7年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金が科される。

また、法人への両罰規定として、監督義務に違反(ただし、違反行為回避のために相当な注意と義務を尽くした場合は免責)した法人・機関に対しては、死亡の場合、50億ウォン以下の罰金、負傷または疾病の場合、10億ウォン以下の罰金刑を科す。同法は公布後1年が経過した日から施行されるが、常時労働者5人以上50人未満の事業または事業所(建設業の場合、50億ウォン未満の工事)については、公布後3年が経過した日から施行する。

一方、損害額の5倍を超えない範囲で賠償責任を科す「懲罰的損害賠償制度」を導入すると発表。政府は重大災害予防のための対策を樹立・施行する義務があり、事業主・法人または機関に対し、重大災害予防事業に必要な費用を支援することができる。

〔諸一(ジェ・イル)〕

(韓国)

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