UAEが韓国、インドネシア、インドとの包括的経済連携協定交渉を開始

(アラブ首長国連邦、韓国、インド、インドネシア)

ドバイ発

2021年10月20日

アラブ首長国連邦(UAE)は、韓国、インドネシア、インドとの包括的経済連携協定(CEPA)の交渉を開始した。UAEは、9月5日に発表した今後50年の成長に向けた「プロジェクト50」(2021年9月13日記事参照)において、他国とのCEPA締結をイニシアチブの1つとして掲げており、取り組みを本格化させている格好だ。

サーニー・ビン・アフマド・アール・ゼイユーディ貿易担当国務相は10月14日、韓国のヨ・ハング通商交渉本部長と会談し、韓国とのCEPA交渉の開始を発表した。10月14日付UAE国営エミレーツ通信社(WAM)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、交渉では商品・サービスの市場アクセスのほか、電子商取引やカーボンニュートラルの実現など、幅広い分野での連携が検討されている。ヨ・ハング通商交渉本部長は「CEPAは、2国間の貿易・投資をさらに拡大するテコになるだろう」とし、「UAEと韓国の戦略的連携は、エネルギーや原子力の分野で拡大するだろう。特に再生可能エネルギーや気候変動への取り組み、温室効果ガスの削減における協力は非常に有望だ」と述べた。

それに先立って9月2日には、ゼイユーディ貿易担当国務相はインドネシアのムハマド・ルトフィ商業相とボゴールで会談し、インドネシアとのCEPA交渉の開始を発表している。ゼイユーディ貿易担当国務相は「CEPAは、UAEとインドネシアの強固な経済関係の上に構築され、両国のビジネスに新たな機会を創出し、より多くの投資と人材を地域に呼び込み、世界経済の回復を加速させる野心的なパートナーシップの基礎を築く」と述べた。また、ルトフィ商業相は「CEPAは、新たな輸出市場とビジネス機会を提供し、技術、物流、持続可能なエネルギー、食糧生産といった分野でのインドネシアの取り組みを後押しするものになるだろう。貿易パートナーシップを活用して経済を強化し、世界経済のハブとしての役割を果たそうとするUAEの計画は、アジアで同様のことを行おうとするインドネシアの野心と一致している」と述べた(9月6日付WAM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

9月22日にも、ゼイユーディ貿易担当国務相はインドのピユシュ・ゴヤル商工相と会談し、インドとのCEPA交渉の開始を発表した。ゼイユーディ貿易担当国務相は「CEPAによる貿易の拡大は機会、安定、繁栄をもたらすもので、UAEとインド経済の緊密な関係は、世界経済の回復に新たな刺激を与えるだろう」と述べた(9月26日付WAM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。10月2日付WAM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されたインタビューにおいて、ゴヤル商工相は「CEPA締結は、パンデミックからの復興を助け、両国に成長を取り戻すだけでなく、両国の国民に雇用を提供し、経済活動を拡大し、より大きな国際市場への貢献を助けるものだ」と述べ、さらに「2022年1月初頭までに大枠の暫定合意を成立させ、3月もしくは4月に暫定合意を運用可能にしたい」と語った。

UAEは、このほか英国、トルコ、エチオピア、イスラエル、ケニアともCEPA交渉を検討しており、全8カ国との交渉のうち、半分を2022年末までに完了させることを目指している。

(太田尭久)

(アラブ首長国連邦、韓国、インド、インドネシア)

ビジネス短信 48a271f75d335b8e