フォン・デア・ライエン委員長、COP26に向け各国に野心的取り組みを求める

(EU)

ブリュッセル発

2021年10月29日

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は10月28日、10月31日から11月12日まで英国グラスゴーで開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、会議の成果に向けた意欲を示すとともに、EUとしての取り組みを強調して各国に一層踏み込んだ対応を求めた。10月28日の声明では、(1)温室効果ガス(GHG)削減に向けた野心的な目標の必要性、(2)気候変動対策のための十分な官民資金の動員、(3)国際的な炭素市場形成のためのルール決定、という主要論点ごとにEUの立場を示した。

野心的な目標について同委員長は、10月26日に欧州委が発表した報告書(2021年10月28日記事参照)のデータを参照して、EUは2020年に、1990年比で31%のGHG排出削減を記録し、2050年の気候中立に向け「軌道に乗っている」と評した。一方で、経済は同じく1990年比で60%成長したとして、排出削減と経済的な繁栄は両立可能だと指摘した。委員長は「EUは、2030年に(1990年比で)少なくとも55%排出削減を達成するための用意はできている。グラスゴーでは世界のリーダーたちに同じ水準を求める」と述べた。またCOP26では、GHG排出削減への取り組みとして2021年9月17日に米国と共同で発表した「グローバル・メタン・プレッジ」を正式に立ち上げることをあらためて紹介。同イニシアチブは、2030年までにメタンの排出を2020年水準から最低30%以上削減することを目標に掲げ、現状では60カ国が参加している。

資金の動員については、後発開発途上国などの気候変動対策のために、先進国が2025年までに官民の資金を合わせて年間1,000億ドルを動員するという目標(注)の早期達成を呼び掛けた。EUおよび加盟国ならびに欧州投資銀行(EIB)は2020年に、途上国の気候変動対策に約245億ドルの資金を導入し、公的部門として世界最大の貢献を果たしていると強調。2023年には年間1,000億ドルの目標が達成される見通しが示されているものの、これを前倒しで達成するために先進国は努力すべきだとした。

国際的な炭素市場形成のためのルールでは、パリ協定第6条が規定する、排出量取引制度間をまたいだ取引における協力の枠組みづくりや、取引の二重計上の回避など透明性を確保するためのルールの明確化などが求められている。2005年に世界でいち早く排出量取引制度を立ち上げたEUとしてはとりわけ重視している論点で、欧州委のフランス・ティーマーマンス上級副委員長(欧州グリーン・ディール政策総括、気候変動対策担当)も「われわれは今こそ、パリ協定ルールブックの最終決定のために行動すべきだ」と意気込みを表明した。

(注)2009年にコペンハーゲンで開催されたCOP15では、2020年の達成目標として合意されたが、2015年のパリにおけるCOP21において2025年までの達成に延期された。

(安田啓)

(EU)

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