食品や化粧品に商機、ロシア企業との契約には留意点も、ジェトロがウェビナー開催

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2021年10月07日

参入障壁が高いと思われがちなロシア市場だが、実は食品や化粧品をはじめとしてさまざまな分野にビジネスチャンスがある。他方、ロシア企業と契約を締結する際には、留意点が幾つか存在する。ジェトロはウェビナーを開催し、日ロビジネスとロシア社会経済の最新事情、およびロシア企業との契約実務のポイントについて解説した(10月1日)。

日本製品のロシア向け輸出を手掛ける物流企業のクハルチョク・クリスティーナ氏は、ロシアで人気の日本製品やロシアへの輸出手続きの概要について説明した。ロシアでは、みそやしょうゆなどの調味料や手軽に調理が可能な麺類などの食品、またフェイスパックをはじめとした化粧品などが多く買い求められる。また、日本からロシアに輸出する際にはロシア語表記の商品情報を製品に記載しなければならず、記載のない商品はロシアの税関で没収され、輸出者に罰金が科されるといったケースがあるため注意が必要と述べた。

ジェトロ・モスクワ事務所の浅元薫哉次長は、ロシア経済や現地に進出している日系企業の動向などを解説。新型コロナウイルスの感染拡大により、ロシアでは2020年の実質GDP成長率がマイナス3.0%に落ち込んだものの、その後徐々に回復し、2021年第2四半期には前年同期比10.5%と5四半期ぶりにプラスに転じた。この背景には、消費の回復や企業による投資の増加がある。また、ジェトロが行っている在ロシア日系企業を対象とした景況感調査によると、2021年1月時点では景況感が新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回復し、多くの日系企業が景気の回復を実感していると述べた(2021年2月17日記事6月2日記事参照)。

日本企業向けビジネス法務のアドバイザリーを行う「Advocate’s Office of Losev Alexey Alexandrovich」のアレクセイ・ロセフ氏は、ロシア企業との契約締結時に留意すべき点を解説した。ロシア法に準拠した代理店(エージェンシー)契約(注)では、委任者が代理店の営業活動を特定の地域に限定する事項は無効となり、反独占法上の責任が生じる可能性があると注意を促した。

(注)代理店(エージェント)が委任者の代理として、本人の商品を広く紹介し、販売活動を行い、損益や権利義務が直接に委任者に属する契約方式。

(宮下恵輔)

(ロシア)

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