リビア復興へエジプト建設企業の動き活発

(リビア、エジプト)

カイロ発

2021年10月19日

リビアの首都トリポリで10月4日から7日、建設分野の展示会「リビア・ビルド2021(Libya Build 2021外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」が2004年以来17年ぶりに開催された。産油国リビアの内戦終結後に高まるとみられる膨大な復興と建設需要への期待もあり、隣国エジプトなど国内外の約200社が参加した。

リビアとの関係深化を図るエジプト

2014年以降は内戦状態にあったリビアだが、2020年に暫定政府とリビア国軍(LNA)が停戦合意に署名し、2021年3月に暫定統一政府が成立した。12月以降には国政選挙が行われる予定となっている。

リビアに隣接するエジプトは、同国の復興に特に期待する国の1つだ。2021年4月20日、エジプトのモスタファ・マドゥーリー首相がトリポリを訪問し、リビア暫定統一政府のアブドゥルハミド・アル・ダバイバ首相とインフラ協力などで合意に達した(2021年4月30日記事参照)。9月16日にはダバイバ首相がカイロを訪問し、両国の間でエネルギー、建設、通信、航空などの分野の覚書を結ぶとともに、エジプトのオラスコムコンストラクション(Orascom Construction外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)や、ハッサン・アラム(Hassan Allam外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、エルスウェディ・エレクトリック(Elsewedy Electric外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)などの大手総合建設企業が発電所や道路建設に係る契約書に署名した。こうした動きの中で開催された今回の展示会には、エジプトからも多くの企業が参加した。

日本企業にもエジプト企業との協業はリビア進出の足掛かりに

日本企業についても、エジプト企業との協業で、資源国リビアでのビジネス機会を広げることができると語る関係者が多い。エジプト外務省リビア担当副大臣のモハメド・アブバクル・サラ・ファッタ氏は、リビア・エジプト間は人的な往来が盛んで、政府高官や企業トップ同士のつながりも深いことから、エジプト企業との協業を日本企業に推奨している。前述の3社についても、エジプトで電力、建設、交通インフラなどの分野で日本企業と協業しているが、2021年7月28日に開催された「日エジプトビジネス投資促進委員会」では、リビアを含むアフリカでの事業を紹介しており(2021年8月4日記事参照)、協業にも前向きだ。

現時点では、リビア全土が日本政府による退避勧告地域に指定されているが、治安悪化によって一度は帰国した多くのエジプト人労働者が再度国境をまたぎ、リビアでの建設プロジェクトに従事している。10月9日には、2014年以来運航が中止していた両国航空便も再開され、企業間の往来がさらに加速する。こうした動きから今後、リビア市場開拓のための日本・エジプト両国企業連携も出てくることが見込まれる。

(福山豊和)

(リビア、エジプト)

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