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IEA、2050年ネットゼロ実現へ投資拡大を提言

(世界)

国際経済課

2021年10月14日

国際エネルギー機関(IEA)は10月13日、世界エネルギー見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同報告書は、各国・地域政府が公表している二酸化炭素(CO2)排出削減のための公約がエネルギー分野や気候に対してどのような意味を持つのか、さらに、発表済みの公約を超えて今世紀半ばまでに世界全体でCO2排出量ネットゼロを達成するために、何をする必要があるかについて、複数の長期シナリオ分析を基に示している。これらのシナリオは、IEAが各国が有する資源や技術、政策などの状況を踏まえて作成したもので、具体的には(1)既に公表や実施がされている政策に限定して推計したSTEPSシナリオ、(2)未実施のものも含め、政府の発表済み公約が仮に全て実施された場合のAPSシナリオ、(3)2050年のCO2排出ネットゼロが達成を想定したNZEシナリオを用いて、化石燃料需要や再生可能エネルギー発電量の見通しを分析している(注1)。

STEPSシナリオでは、2050年のエネルギー需要の純増分ほぼ全てがCO2低排出のエネルギー源によって賄われるが、年間のCO2排出は現在と同水準にとどまり、その結果、2100年の世界の平均気温は産業革命以前に比べて2.6度以上高まるものの、依然上昇を続けることが予測された。APSシナリオでは、化石燃料需要は2025年までにピークを迎え、世界のCO2排出量は2050年までに40%減少する見通しだ。また、電力部門を中心に全てのセクターでCO2排出量が減少し、2100年の世界の平均気温上昇幅は産業革命以前比で2.1度になるという。ただし、APSシナリオでもCO2排出ネットゼロの実現は厳しく、パリ協定の目標の達成には届かない。

その上でIEAは、現在の公約と1.5度シナリオ(注2)の差を縮めるために、今後10年および2030年以降の一層のCO2排出削減につながる4つの方策を提示した。4つの施策はそれぞれ、(1)太陽光や風力発電の開発を倍増させるための一層のクリーンエネルギー化の推進、(2)材料効率と行動変容を通じエネルギーサービス需要を抑えることで、エネルギー効率化実現のための不断の努力を行うこと、(3)化石燃料事業におけるメタンの排出削減、(4)クリーンエネルギーイノベーションの後押し。

IEAのファティ・ビロル事務局長は、2050年のネットゼロ実現に向けた軌道で、現在の公約は2030年に必要となるCO2排出量削減の20%にしかならず、ネットゼロに向けた軌道に乗るためには、向こう10年で3倍以上のクリーンエネルギー事業やインフラ向け投資が必要と述べた。また、将来のクリーンで弾力性のある技術を急速に拡大するために、政府は第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で明確なシグナルを与える必要があると指摘した。

(注1)各シナリオの名称は以下の通り。Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZEシナリオ)、Announced Pledges Scenario (APSシナリオ)、Stated Policies Scenario(STEPSシナリオ)。

(注2)世界の平均気温を産業革命期比で1.5度までに抑制するシナリオ。

(柏瀬あすか)

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