ポルトガル統一地方選挙で、中道左派の与党が勝利

(ポルトガル)

マドリード発

2021年10月04日

ポルトガルで9月26日、統一地方選挙(市・区議会選挙)(注)が行われた。投票率はほぼ前回並みの53.65%となった。選挙の結果は、ほぼ事前の世論調査のとおり、国政与党の中道左派・社会党(PS)が2017年の前回選挙からややポイントを下げつつも、34.23%の得票率で勝利した(添付資料表参照)。最大野党の中道右派・社会民主党(PSD)は別の中道右派政党との連合により、合わせて24.02%を獲得した。また、与党PSは全308自治体のうち148自治体(前回から11減)、PSDは113(10増)で勝利した。今回の選挙結果は、現状を大きく変えることにはならないが、多くの人が予想していたようなPSDの大敗とはならなかった。

首都リスボンは最大野党PSDが奪回

PSDは、政治アナリストの事前予想どおり得票率を減らしたものの、首都リスボン、コインブラ、ポルタアレグレ、マデイラ自治領フンシャルといった主要都市を押さえ、地方における同党のプレゼンスは2017年よりもむしろ高まった。

一方、PS党首のアントニオ・コスタ首相は選挙期間中、精力的に全国で遊説を行い、EUの復興基金の支援を受けるには国政政党であるPS政権の方が有利になるとアピール。新型コロナウイルスの感染抑え込みの成功を強調し、弱体化が顕著な野党への批判を盛んに行った。

しかし、首都リスボン市では、最大野党PSDのカルロス・モエダス市長候補が、現職の与党PSのフェルナンド・メディナ市長を破り、勝利するという予想外の結果となった。リスボン市民は現職市長の統治能力や公約不履行、また14年の長期政権の弊害である縁故主義や腐敗に「ノー」を突き付けたとされる。しかし、PSDは市議会の半数を獲得していないことから、モエダス新リスボン市長の議会運営は、PSなど左派との協調が必要不可欠となり、困難が予想される。

ポルトガルでは、2023年に総選挙が予定されている。同国では県レベルの選挙はなく、市議会選挙が今後の国政を占う手掛かりとなる。与党PSが新型コロナウイルス感染対策をおおむね成功させたことなどから、2020年の実質GDP成長率はマイナス7.6%と、経済の落ち込みが隣国のスペイン(マイナス10.8%)ほど大きくはない。独立財政機関であるポルトガル財政評議会(CFP)の予測によると、2021年の実質GDP成長率はワクチン接種や周辺国の景気回復、復興基金の恩恵などを受け4.7%、2022年には5.1%になると見込まれる。失業率は、2021年は前年比0.5ポイント増の7.3%に上昇するが、これは失業者への手厚い社会給付(月額504ユーロ)が2021年末まで延長されたためで、給付打ち切り後の2022年には6.4%まで改善する見通し。

現地の複数メディアによると、今回の地方選挙の結果は、国政与党であるPSのやや強権的な姿勢に対する都市部からの強い警告だったと分析されている。また、PSDのルイ・リオ党首については、大敗北を食い止めたものの、政権奪還を担える人物ではないというイメージが強まったとした。

(注)ポルトガルには、マデイラ諸島やアゾレス諸島などの離島部の自治領政府を除き、州・県レベルの自治体は存在しない。そのため、統一地方選挙は市・区議会選挙のみとなっている。

(小野恵美)

(ポルトガル)

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