労働契約一時凍結制度(SPL)適用期限を短縮、経済への影響懸念の声上がる

(ペルー)

リマ発

2021年09月24日

ペルー首相府(PCM)は9月15日、新型コロナウイルス禍における企業とその従業員の雇用を守るため2020年4月に緊急令038-2020号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによって導入した「労働契約一時凍結制度(SPL:Suspensión Perfecta de Labores)」(2020年4月17日記事2020年4月28日記事参照)に関して、緊急令087-2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発令した。この緊急令では、SPLの適用期間を全国衛生緊急事態宣言(注)にひもづけ、宣言終了30日後まで契約凍結を可能とすることを定めた緊急令038-2020号の第3条5項を撤回している。これにより、現行SPLの適用期間は2021年10月2日までとなり、9月3日から180日間延長された直近の全国衛生緊急事態宣言(2021年8月24日記事参照)にはひもづけされないことが決定した。一方で、SPLを継続して適用するためには、法令728号「生産性と労働競争力に関する法令」第14~16条に基づき、あらためて労働雇用促進省(MTPE)に対して適用申請を行うか、また同法令第46条による整理解雇手続きなどを申請する可能性を指摘する一部の法律事務所などの声もある。ただし、MTPEへの新たなSPLや整理解雇の適用申請については、一部の専門家からは企業の経営難の原因となる「偶然の出来事または不可抗力」を新型コロナウイルスのパンデミックとして捉えていた全国衛生緊急事態宣言の枠組みを失った場合に、認可が下りる可能性は低いとする意見もある。

今回の措置について多くの専門家は、依然として経済再開の途中にあるペルー経済にとって大きな足かせとなる可能性を指摘しており、新型コロナ感染第3波が到来した場合には多くの中小零細企業の倒産を懸念する声も少なくない。

(注)危機によって国家の存亡や国内治安の混乱が懸念される「緊急事態宣言」に対して、国民の健康と生命が危機にある状況下で発令されるのが「全国衛生緊急事態宣言」。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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