バイデン米大統領のワクチン接種義務化拡大にほとんどの共和党知事が反対
(米国)
米州課
2021年09月14日
バイデン米国大統領は9月9日、連邦職員や一部の医療従事者に対するワクチン接種の義務化に関する大統領令に署名するとともに、同日の演説で、100人以上の従業員を雇用する企業の雇用主がワクチン接種または週1回の検査を確認するよう要請した(2021年9月13日記事参照)。バイデン政権が示したこれらの方針に対しては、ほとんどの共和党の州知事が反対の姿勢を示している。
全米50州のうち、共和党出身者が州知事を務めている州は27州ある。今回の大統領方針に反対する姿勢を見せたのは、バーモント州のフィル・スコット知事を除く、26州の知事だ。また、少なくとも10州の知事(注)が、その方針が違憲として、訴訟を起こすことも辞さないという構えを示している。
マスク着用の義務化に反対の姿勢を示してきたジョージア州のブライアン・ケンプ知事(2021年8月23日記事参照)は自身のツイッターで、「私はバイデン政権による露骨な違法行為を阻止するために、ジョージア州が利用できるあらゆる法的手段を追求する」とツイートしている。また、学校が生徒に対してマスク着用を義務付けることを禁止する州知事令を発令したフロリダ州のロン・デサンティス知事は9月10日、「バイデンのような大統領が米国民に対して違憲の命令を出した場合、われわれには憲法のために立ち上がり、反撃する責任がある」と述べている(「NBC・マイアミ」9月10日)。
一方、バーモント州のフィル知事は自身のツイッターで、「大統領がワクチン接種と国の復興を優先して進めてくれたことに感謝する。バーモント州の経験が示すように、ワクチンは効果があり、命を救う。これらは、このパンデミックを乗り越えるための最善かつ最速の方法だ」と述べ、バイデン政権の方針に理解を表明した唯一の共和党知事となった。同州では、9月15日から全ての州政府職員に対してワクチン接種を義務付けるなど、州政府主導でのワクチン接種を進めており、同州の12歳以上のワクチン接種完了率は、9月12日時点で50州中最高となる77.7%を記録している。
(注)知事が訴訟を起こすことも辞さないとする州は、フロリダ、ジョージア、ミシシッピ、ネブラスカ、ノースダコタ、オハイオ、オクラホマ、サウスカロライナ、サウスダコタ、テネシー。
(滝本慎一郎)
(米国)
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