中国製ワクチンの輸出はさらに拡大、7月は20億ドルを突破

(中国)

中国北アジア課

2021年09月08日

中国の2021年7月のワクチンの輸出額(注)は、前月から76.4%増加し24億8,003万ドルだった(添付資料図参照)。中国のワクチン輸出額は、2020年12月から顕著に増加傾向にある。2021年1~7月の累月では、74億9,986万ドルに達した。

1~7月の輸出額を国・地域別にみると、アジアや中南米の国・地域が上位に挙がる(添付資料表参照)。輸出額が最も多いのはインドネシアで、9億3,011万ドル(構成比:12.4%)だった。次にトルコが5億1,531万ドル(6.9%)、ブラジルが5億851万ドル(6.8%)と続いた。

国家衛生健康委員会の発表によると、中国における新型コロナウイルスワクチンの累計接種回数は21億1,308万回となり、必要とされる接種回数の接種を完了した人数は9億6,972万人に達した(2021年9月6日時点)。ワクチン接種が進展するにつれ、中国国内のワクチン需要が落ち着く中で、今後も、中国からの海外向け供給が拡大するとみられる。

海外での研究報告を紹介、中国製ワクチンの有効性を強調

他方で、中国製ワクチンに対し、一部では安全性や効果を疑問視する声も聞かれる。こうした中、国務院共同予防抑制メカニズムが8月27日に開いた記者会見では、参加した記者から「中国製ワクチンの有効性について、提供先の海外から臨床研究の明確な結果が得られたケースはあるのか」との質問が投げかけられた。質問に対し、同メカニズム科研攻関組ワクチン研究開発専門班工作チームの鄭忠偉チーム長は「5月以降、ペルー、タイ、アルゼンチン、モンゴル、バーレーン、ウルグアイ、スリランカなど、中国製ワクチンの接種を大規模に進めた国から相次いで研究データが報告された。これらの報告を総括すると、中国製ワクチンによる感染予防率は57~85%。重症化に対する防御率は90%程度。死亡に対する防御率は84~97%だ」と述べ、「防御率は100%ではないものの、中国製ワクチンの効果は明らか」と強調した。なお、鄭チーム長は、各国の感染防止戦略や、変異株の流行状況は異なることから、ワクチンの効果に関するデータには差異がある点も補足した。

(注)HSコード300220(人用のワクチン)に属するもの。本統計には、新型コロナワクチン以外の人用ワクチンも含まれるが、増加の推移をみる限り、多くが新型コロナワクチンと推測される。

(小林伶)

(中国)

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