富裕外国人などを長期滞在者として誘致する景気刺激策の導入を閣議承認

(タイ)

バンコク発

2021年09月21日

タイ政府は9月14日の閣議で、新たな景気刺激策として、潜在的な富裕外国人や専門家を長期滞在者としてタイに誘致する措置を承認した。2026年までに100万人誘致を目標に、国家経済社会開発委員会(NESDC)など関係省庁で制度設計を行う。

具体的な措置の内容は以下のとおり。

○外国人長期滞在者に対する新たなビザ措置と優遇措置

誘致措置の対象となる外国人長期滞在者を4グループに分類し、グループによって資格要件を定める。

(1)富裕外国人

  • タイ国債または外国直接投資あるいは不動産に少なくとも50万ドルを投資したこと。
  • 過去2年間に少なくとも年間8万ドルの収入(所得または年金)を得ていたこと。
  • 少なくとも100万ドルの資産を持つこと。

(2)裕福な退職者

  • タイ国債または外国直接投資あるいは不動産に少なくとも25万ドルを投資し、年間4万ドル以上の年金を持つこと。
  • 投資がない場合は、少なくとも年間8万ドルの年金を持つこと。

(3)タイを拠点として働く者

  • 過去2年間の個人所得が年間8万ドル、または修士以上の有資格者で個人所得が年間4万ドル、あるいは知的財産権を保有またはシリーズA(事業が本格的にスタートした段階)の資金調達をしていること、のいずれかの要件を満たしていること。
  • 5年以上の実務経験があること。

(4)高度専門家

  • 過去2年間に個人所得が年間8万ドル、または修士以上の有資格者は個人所得が年間4万ドルであること。
  • 次世代自動車、ロボティクス、デジタルなど誘致対象となる業界で5年以上の実務経験があること。

ビザ申請時に上記資格要件を満たした者には、長期滞在ビザが与えられる。新たに創設する長期ビザの保有者はタイでの就労が認められ、タイに90日以上滞在する場合の移民局への報告が免除されるなど、ビザ関連手続きの利便性が向上するとともに、国外での収入に対する課税免除などの税制特典も付与される。

(岡本泰、ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ)

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