米鉄道大手カンザスシティ・サザン、カナディアン・パシフィックによる買収提案受諾

(米国、カナダ、メキシコ)

ニューヨーク発

2021年09月22日

米国の鉄道大手カンザスシティ・サザン(KCS)は9月15日、カナダの同業大手カナディアン・パシフィック(CP)による約310億ドルの買収提案を受け入れると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。KCSは米国内以外にメキシコとパナマでも鉄道関連の投資を行っており、今回の合併によって初めて、米国、メキシコ、カナダの北米3カ国をつなぐ鉄道網が誕生することになる。

KCSの買収には当初、カナダの鉄道最大手のカナディアン・ナショナル(CN)も参加しており、5月にはCNがCPよりも高い買収額を提示し、いったんはCNによる買収で合意していた。しかし、8月に米国の陸上運輸委員会(STB)が公共の利益に照らして、両者の合併において議決権信託(注)の手法を利用することを却下したため、頓挫していた。その後、CPが再度の買収提案を行い、STBも既に議決権信託の利用を承認していたため、今回の決定に至った。両社連名のプレスリリースによると、両社は今後、株主やメキシコ当局の承認を得る必要があり、買収取引の完了は2022年第1四半期(1~3月)を見込んでいる。

買収が完了した場合、鉄道敷設距離で2万マイル(約3万2,190キロ)、従業員数2万人、年収にして87億ドル(2020年ベース)の企業が誕生する。両社は合併による効果として、メキシコ~米国中西部~カナダ間で急を要する高付加価値部品や腐食性食物などのインターモーダル輸送が可能になることや、3カ国間の自動車関連の製造・物流拠点をつなぐことが可能になることなどを挙げている。

合併後の企業トップとなるCPのキース・クリール社長兼最高経営責任者(CEO)は「この完璧な組み合わせは米国・メキシコ・カナダに単一路線の選択肢を備えた初めての鉄道網を生み出し、CPとKCSの顧客に対して劇的に拡大した市場アクセスをもたらし、競争力のある新たな輸送手段を提供し、北米の経済成長を支援することになる」としている。KCSのパトリック・オッテンスマイヤー社長兼CEOも「CPと組んで輸送市場で最高の価値を提供することにより、競争力のある鉄道網を生み出すことができ大変うれしく思う」と述べた。

(注)議決権を統一的に行使するため、株主が株式を1人の受託者に信託する手法。

(磯部真一)

(米国、カナダ、メキシコ)

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