第2四半期のGDP成長率は前期比1.0%、財務省も経済見通しを上方修正

(チェコ)

プラハ発

2021年09月02日

チェコ統計局の8月31日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2021年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(季節調整済み)は前期比1.0%で、第1四半期(1~3月)の同マイナス0.4%から再びプラスに転じた。前年同期比では8.2%で、前期のマイナス2.5%から大幅に増加した。

需要項目別にみると、民間最終消費支出が前期比6.5%増で3四半期ぶりにプラス成長となった。新型コロナウイルス対策の非常事態宣言を2021年4月12日に解除(2021年4月9日記事参照)して以降、規制措置が段階的に緩和されたことが影響したとみられる。また、総固定資本形成も4.2%増大し、民間最終消費支出とともにGDP成長率を押し上げた。一方、外需に関しては、輸出の伸びが0.6%にとどまり、輸入の伸びの4.9%を大きく下回ったため、第1四半期に引き続き純輸出はマイナスとなり、GDP成長率の抑制要因となった(添付資料表1参照)。

第2四半期のGDP成長率を産業別でみると、5月に営業禁止が完全に解除された小売り、ホテル、レストランを含む「小売り・卸売り、ホテル、レストラン、運輸」部門が前期比3.5%となり、前期のマイナス0.8%からプラスに転じた。一方、製造業は前期の0.4%から拡大したものの、1.1%にとどまった(添付資料表2参照)。中でも、チェコ製造業の中核を成す自動車産業で半導体チップなどの部材供給の寸断が深刻化した。チェコ自動車工業会が7月20日に発表した上半期国内自動車生産に関するコメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、国内乗用車生産台数は、3月の12万5,502台から徐々に減少、6月には10万3,081台となった。同工業会のズデニェック・ペツル会長は、半導体チップ不足の影響は下半期も続くと予想している。同会長は「この問題がなければ、生産台数は約5%上回り、少なくとも新型コロナ危機以前の水準に近づくはず」と指摘した。

中銀に続き、財務省も経済見通しを上方修正

財務省は8月24日に最新マクロ経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、2021年のGDP成長率を4月発表予測値の3.1%から3.2%に上方修正した。チェコ国立銀行(中央銀行)が8月5日に発表した夏季経済予測(春季経済予測の1.2%から3.5%に上方修正、2021年8月10日記事参照)と同様に、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、抗体を持つ人が増加している状況を踏まえて、マクロ経済に大きな影響を与えるロックダウンは導入されないとの見通しに基づいたものだ。特に個人消費と総固定資本形成が成長を牽引すると同省は予測している。

(中川圭子)

(チェコ)

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