欧州委、スマートフォンなどの充電ポートを「USBタイプC」に統一する指令案を発表

(EU)

ブリュッセル発

2021年09月28日

欧州委員会は9月23日、スマートフォンなどの携帯用電子機器の充電関連規格を統一する無線機器指令の改正案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。欧州委は、充電器の端子の規格は、業界の自主的な取り組みにより統一されつつあるが、いまだに十分な統一には至っていないとした。また、欧州委によると、消費者の38%が充電器の端子が合わずに携帯電話を充電できなかったなどの問題を経験しているという。欧州委は、今回の改正案により手持ちの充電器を再利用でき、不要な充電器を購入せずに済むことから、年間2億5,000万ユーロの節約になり、年間約1,000トンの電子廃棄物の削減にもつながるとしている。改正案では、電子機器の充電関連規格を統一することで、消費者の不便さを解消するとともに、環境負担の軽減を目指す。

USBタイプCとUSB PDが携帯用電子機器の統一規格に

今回の改正案の対象となる電子機器は、携帯電話、タブレット端末、デジタルカメラ、ヘッドホン、マイク付きヘッドホン、携帯型ゲーム機、携帯用スピーカーだ。ワイヤレスイヤホン、スマートウォッチ、健康管理用のウエアラブル端末などは、サイズや利用条件など技術上の問題から、対象外となる。

また、改正案により統一される規格は、対象となる電子機器の充電ポートと急速充電技術に関するものだ。充電ポートは「USBタイプC」を、急速充電技術は「USB PD(パワーデリバリー)」を、欧州規格としてそれぞれ統一する。ただし、統一規格との完全な互換性を阻害しない限りにおいては、その他の充電規格を搭載することは認められる。なお、無線充電の分野に関しては、現状では発展途上で、今後も技術革新が期待されることから、改正案の対象にはなっていない。充電器自体の互換性についても、改正案の対象となっていないが、欧州委は別途、エコデザイン規則の改正により対応するとしている。

さらに、今回の改正案は、消費者が新たに携帯用電子機器を購入する際に、手持ちの充電器の利用の可否を簡単に判断できるように、販売する充電器の最大出力や急速充電の規格などの情報を商品の外装などに明記することを義務付ける。また、消費者による不要な充電器の購入を避けるために、充電器を含まない電子機器本体のみの販売を義務付ける。ただし、充電器と電子機器本体とのセット販売自体は引き続き認められ、充電ケーブルについても電子機器本体とのセット販売が認められる。

改正案は今後、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で審議され、採択された場合は24カ月の国内法制化期間後に、適用が開始される。

(吉沼啓介)

(EU)

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