川崎重工がオフロード事業を強化、リンナイは業務用給湯器事業を買収

(メキシコ)

メキシコ発

2021年09月09日

川崎重工業は8月30日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、北米向けオフロード四輪事業強化に向け、メキシコ現地法人カワサキ・モトーレス・デ・メヒコ(KMX)および米国現地法人カワサキ・モーターズ・マニュファクチャリング(KMM)の生産設備を新設することを発表した。KMXは2023年度からオフロード四輪車の生産を開始する予定。KMMは2023年3月までに新モデルの生産能力を増強する予定。プレスリリースによると、北米ではオフロード四輪車の市場拡大が続いており、KMXとKMMに合計300億円の設備投資を行うことで需要に対応するという。

メキシコにおけるオフロード四輪車の近年の製造投資としては、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)発効後の第1号投資案件として報じられた、2020年7月発表のカナダ企業ボンバルディア・レクリエーショナルプロダクツ(BRP)によるチワワ州でのATV(注)生産工場の建設がある。BRPによると、同社の四輪ATV(Can-Amシリーズ)への需要拡大に対応するため、投資額は1億3,600万ドルで、1,000人の雇用を見込み、2021年秋にも生産が開始される予定だ。米国国際貿易委員会(USITC)のデータによると、米国のATVの輸入額は年々拡大しており、2020年の輸入額は17億8,090万ドルと5年前の2015年比で31.1%拡大しており、そのうちメキシコ製が56.4%を占め、同77.3%増加している(添付資料表参照)。

リンナイは9月2日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、前日に米国子会社リンナイ・アメリカがメキシコの業務用給湯器システムでトップメーカーのインドゥストリアル・マス(IM)の全株式を取得したと発表した。IMは、メキシコ国内の業務用給湯器市場の3分の1を占める大手メーカーで、リンナイは今回の買収により中南米地域での事業拡大とブランド認知度の向上に取り組むとしている。

リンナイは米国子会社を通じて、リンナイブランドの給湯器(家庭用・業務用)をメキシコ市場で既に販売しているが、今後はIMがメキシコ州に持つ生産工場を傘下に収め、メキシコ市場に加えて中南米市場にも製品を輸出することになる。

(注)All Terrain Vehicleの略。全地形対応車のこと。

(橋詰茜)

(メキシコ)

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