第2四半期の実質GDP成長率、前年同期比21.7%のプラス成長

(トルコ)

イスタンブール発

2021年09月08日

トルコ統計機構(TUIK)の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(9月1日)によると、2021年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は、新型コロナウイルス感染拡大による影響でマイナス10.4%と冷え込んだ前年同期のベース効果もあり、前年同期比21.7%と大きく伸びた。ただ、季節・日数調整後の成長率(前期比、年率換算)では0.9%の成長にとどまる。

第2四半期の成長率を支出項目別にみると、GDPの最大項目である家計最終消費支出が前期(7.0%)から急伸し、前年同期比で22.9%と成長を牽引した。同様に、民間投資を含む総固定資本形成も同20.3%と伸びた。輸出は59.9%、輸入は19.2%で、純輸出の寄与も大きかった。

部門別に成長率をみると、サービスが45.8%、工業が40.5%とプラス成長となった。特に製造業は43.4%で成長を牽引した。他方、新型コロナコロナウイルス感染拡大前に成長を牽引してきた建設は3.1%にとどまり、農業・林業・漁業も2.3%だった。前年同期に2桁成長記録した金融・保険業は減速しマイナス22.7%となった。

トルコの国営アナドル通信(9月1日付)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは「トルコ経済が第2四半期に記録的な成長を遂げた」と報じたが、前年のベース効果に起因することもあり、有識者の反応は限定的だった。高インフレ(CPI;8月前年同月比19.25%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)と失業率(第2四半期12.4%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を犠牲にした成長に疑問符が打たれているようだ。

エルバン国庫財務相は「低インフレと為替レート安定、予測可能性は持続可能で包括的な成長のために重要」と強調した。また、今回の発表を受け、JPモルガンはトルコの2021年の経済成長率予想を6.8%から8.4%に、ゴールドマン・サックスは7.5%から9.5%に上方修正した。

(中島敏博)

(トルコ)

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