米ニューヨークと近郊州で熱帯低気圧「アイダ」の被害が多発
(米国)
ニューヨーク発
2021年09月03日
米国ニューヨーク州とその近郊エリアでは9月1日、ハリケーン「アイダ」(2021年8月31日記事参照)から変わった熱帯低気圧による集中豪雨の影響で洪水や停電の被害が多発し、米国東部時間2日午後8時(日本時間3日午前9時)時点でニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルベニア、メリーランド、コネチカット州で合わせて45人の死亡が報じられている(「USAトゥデー」電子版9月2日)。ニューヨーク市では、自宅地下への浸水による死者11人を含めた13人の死亡が確認されている。(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版9月2日)。
国立気象局ニューヨーク支部は9月1日夜、ニュージャージー州北東部とニューヨーク市に洪水緊急警報(Flash Flood Emergency)を出し、支部のツイッター上で、「ニューヨーク市近郊で洪水緊急警報を出すのは前代未聞だ。ニュージャージー州北東部へ初回の警報を出し、その1時間後にはニューヨーク市にも警報を発した」と発信した。
さらに、キャシー・ホークル・ニューヨーク州知事は同日夜に、州内14の地域(注)に緊急事態宣言を発令した。また同じころ、フィル・マーフィー・ニュージャージー州知事も、州内21の全地域に対して緊急事態宣言を発令した。メリーランド州では同日、ラリー・ホーガン知事が、州の緊急事態管理局に活動レベルを上げるよう指示を出したと発表した。また、ペンシルベニア州では、トム・ウルフ知事が8月31日に、被害に備えて緊急事態を前もって宣言していた。
ニューヨーク市セントラルパークで計測される1時間当たりの降水量は、8月21日のハリケーン「ヘンリー」が過去最多の記録を更新したばかりだったが、国立気象庁によると、今回の「アイダ」で再度更新され、9月2日午後8時51分から午後9時51分の間に3.15インチ(約8センチメートル)を記録したと発表した。
停電は9月2日までに多少回復したものの、2日の午後8時45分の時点でもまだ、ニューヨーク州で約1万5,000件、ニュージャージー州で2万5,000件、ペンシルベニア州で4万2,000件の停電が続いている。9月1日に濁流による被害を受けたニューヨーク市の地下鉄や電車は、2日現在、一時休止中だ。
ホークル知事は9月2日のブリーフィングで、「先ほど、ジョー・バイデン大統領から連絡があり、ニューヨーク州へのあらゆる支援の提供を保証すると約束してくれた」と発表した。バイデン大統領は同日の会見で、米国の歴史上5番目に大きいハリケーン「アイダ」の影響で、「ニューヨークは、通常の9月1カ月間分の降水量をたったの1日間で経験した。被害は甚大で、ニューヨーク州、ニュージャージー州、ペンシルベニア州の知事に、米国連邦緊急事態管理局が全力で支援することを約束した」と述べた。
(注)ブロンクス、ダッチェス、キングス(ブルックリン)、ナッソー、ニューヨーク(マンハッタン)、オレンジ、プトナム、クイーンズ、リッチモンド(スタテン島)、ロックランド、サフォーク、サリバン、アルスター、ウエストチェスター。
(吉田奈津絵)
(米国)
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