米ルイジアナ州沿岸部、ハリケーン「アイダ」の被害で電力復旧に数週間か

(米国)

ヒューストン発

2021年08月31日

米国ルイジアナ州沿岸を襲ったハリケーン「アイダ」の影響で、進路となったルイジアナ州東部のニューオリンズ周辺では大規模停電が発生している。米国中部時間の8月30日午後3時(日本時間31日午前5時)時点で、州内最大の電力事業者エンタジー(本社:ルイジアナ州ニューオリンズ)の契約者130万件のうち、82万件強が停電になっている(民間電力情報サイト・パワーアウテージUS)。ニューオリンズ市を含むオリンズ郡の停電率は92.7%に上る。

停電率98%を超えるメキシコ湾沿岸のテレボーン郡(郡庁所在地ホーマ市)、ラフーシュ郡(郡庁所在地ティビドー市)では、復旧まで数週間を要する可能性が指摘されている。

今回のハリケーンに伴い、ルイジアナ州のホーマ港、ニューオリンズ港、ミシシッピ州のビロクシ港、ガルフポート港、パスカグーラ港、メキシコ湾沿岸内水路が閉鎖された。

石油ガス企業は、ハリケーン襲来前日の8月28日までに沖合290施設から人員を退避するなどして備えており、メキシコ湾岸の石油生産は日量91%(165万バレル)の減少となった。

ルイジアナ州沿岸から約18マイル(約29キロ)沖合にある、民間所有では米国最大の原油ターミナル「ルイジアナ・オフショア・オイル・ポート」は、ハリケーン被害が想定されたことから操業を停止していた。

エクソンモービル(本社:テキサス州アービング)は、ルイジアナ州バトンルージュの製油所での製造を日量52万バレルから50%削減したほか、ハリケーンの通過により輸送用トラックが製油施設に近づけないことから隣接する化学プラントの一部を閉鎖した。

アイダが上陸した8月29日は、2005年にニューオリンズ周辺を襲ったハリケーン「カトリーナ」からちょうど16年に当たった。カトリーナの際にはニューオリンズの堤防が決壊し、約1,800人が死亡、被害額は750億ドルに上った。

今回の被害の全容はまだ明らかではないが、風速こそ最大150マイル/時(約67メートル/秒)と、カトリーナの127マイル/時(約57メートル/秒)よりも大きかったものの、比較的小規模だった。ルイジアナ州のジョン・ベル・エドワーズ知事は、カトリーナ後に同州内堤防の重点的整備が進み、今回はうまく機能したが、住宅や企業に甚大な被害をもたらしたと述べている。8月30日午後3時時点で死者は2人となっている。

(桜内政大)

(米国)

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