バイデン米大統領、中国の習国家主席と電話会談、衝突回避などを議論

(米国、中国)

ニューヨーク発

2021年09月13日

ジョー・バイデン米国大統領は9月9日、中国の習近平国家主席と電話会談を行った。米中両国首脳の会談は2月の電話会談以来、2回目となる(2021年2月12日記事参照)。

米政権の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、両首脳は相互に利害が重なる分野と利害、価値、視点が分かれる分野それぞれを含む、幅広い戦略的な議論を行い、いずれの分野の課題に対しても開放的かつ率直に関与することに合意した。発表では、今回の会談を、両国間の競争を責任あるかたちで管理する取り組みの一環として位置付けている。この点につき、両首脳は競争が衝突に転じないことを確かにするための両国の責任について議論したとしている。一方、バイデン大統領は、インド太平洋および世界の平和と安定そして繁栄における米国の永続的な利益を強調したとしている。

トランプ前政権下で高まった両国間の緊張関係は、バイデン政権発足以降も具体的な改善の兆しは見えていない。実際、バイデン政権は対中政策に関する包括的な見直しを進めている途中として、トランプ前政権が発動した対中追加関税や中国を念頭に強化した輸出管理法令とその運用などを基本的に維持している。さらには、外交政策において重視する人権保護の観点からは、トランプ前政権が敷いた対中措置に上乗せする措置を発動するなど、中国に厳しく臨む面が目立っている(注)。

一方で、米メディアによると、バイデン政権は中国との衝突を回避するための緊急的な連絡手段の構築を検討しているとされる。また、中国側からは秦剛・駐米大使を通じて、トランプ政権の途中まで続いていた両国間のハイレベル対話の枠組みの再構築が呼び掛けられているが(2021年9月7日記事参照)、今回の電話会談ではそれらに関する成果については言及がなかった。米国商工会議所のマイロン・ブリリアント上級副会頭は自身のツイッターで、今回の会談自体は前向きな出来事としつつ、「ビジネス界が歓迎する具体的な成果が伴わなければならない」と発言している。

(注)例えば、中国軍に協力している疑いのある中国企業への新規の証券投資を禁止する措置に関して対象企業を拡大したり(2021年6月7日記事参照)、新疆ウイグル自治区での強制労働を理由とした輸入制限の対象に中国の太陽光パネル原料メーカーを加えたりすることなど(2021年6月25日記事参照)が挙げられる。

(磯部真一)

(米国、中国)

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