第1四半期の世界の中間財貿易、前年同期比20%増

(世界)

国際経済課

2021年09月06日

WTOが9月2日に公表した中間財貿易に関するレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2021年第1四半期(1~3月)の世界の中間財輸出は前年同期比20%増となった(注)。新型コロナウイルスの影響で、世界の中間財輸出は2020年第2四半期(4~6月)に同16%減と落ち込んだが、第3四半期(7~9月)以降は回復が続いている。

地域別の伸び率でみると、アジアが前年同期比28%増と最も大きかった。主に中国からのIT・携帯電話の部品や太陽電池の輸出が増加したことが背景にある。国別の輸出額では、中国が同41%増の3,040億ドルで最も大きく、これに米国(同12%増、1,900億ドル)、ドイツ(同11%増、1,760億ドル)が続いた。日本は同9%増の910億ドルだった。このほか、金額の規模は小さいものの、鉄鋼業向け鉄鉱石精鉱の輸出増により、オーストラリアが同61%増の500億ドルとなった。

地域間の貿易をみると、アジア域内の貿易の伸び率が最も高く、前年同期比30%増となった。他地域からアジア向けの貿易も伸び率が大きく、アフリカから中国向けの輸出は同41%増だった。アフリカは鉄鉱石、銅、ダイヤモンドの輸出増加によって中国向けが同38%増、金の輸出増によりインド向けが84%増となった。他方、アフリカ域内の貿易は同11%増と、伸び率は相対的に低い水準にとどまった。中南米からアジア向けは同30%増、欧州からアジアは同29%増だった。北米からアジア向けは同24%増となり、2020年2月に発効した米中経済・貿易協定の第1弾に基づく、大豆やトウモロコシ、綿の輸出増加のほか、プロセッサーや集積回路の輸出が後押ししたとみられる。

カテゴリー別にみると、鉄鉱石・貴石・レアアース(同43%増)、食料および飲食料品(同22%増)の増加幅が大きかった。輸送用機器は、新型コロナのパンデミックが自動車の需給両面に影響を及ぼした2020年の急激な減少に続き、同6%増と他のカテゴリーに比べて伸び幅が小さかった。

今回のレポートは、足元の貿易動向のモニタリングと中間財貿易の見通しを提供する新しいレポートシリーズの始動に当たる。WTOによると、中間財貿易はサプライチェーンの活動指標であり、新型コロナ危機の初期に深刻な響を受けたという。2021年第1四半期の中間財貿易は、燃料を除く世界全体の貿易の51%を占め、過去10年間一定の水準を保っている。

(注)中間財は、最終財の製造の際に投入されるもので、食品製造に使用される穀物や、製造物(衣服、機械など)に投入されるテキスタイルや金属などが含まれる。世界の中間財輸出額は98の国・地域のデータに基づく(アフリカは推計値を含む)。

(柏瀬あすか)

(世界)

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