カザフスタン資源大手、ロシア極東からの鉱物輸送に向け船舶建造を計画

(カザフスタン、ロシア)

タシケント発

2021年09月24日

カザフスタン資源大手のカズミネラルズは、ロシア極東チュコト自治区で開発を進めている銅鉱床からの鉱物輸送に必要となる、砕氷船とばら積み貨物船建造に向け、ロシア原子力公社ロスアトムと交渉に入った。カズミネラルズのオレグ・ノバチュク取締役会長が明らかにした(ロスビジネスコンサルティング9月14日)。ロスアトムは、鉱床からの積出港となるぺベク港の管理運営を行い、原子力砕氷船を運用するアトムフロートを傘下に持つ。カズミネラルズは、2018年にチュコト自治区バイムスカヤ採鉱区での資源開発権を9億ドルで購入している。

バイムスカヤ銅鉱床は、世界最大級の未開発銅鉱床の1つで、銅の推定埋蔵量は2,300万トン。同地域には13の鉱床があるが、中でもペスチャンカ鉱床は有望視されており、銅990万トン、金1,660万オンス(約471トン、1オンス=28.35グラム)の埋蔵量が見込まれている(アークティック・ロシア2019年12月)。カズミネラルズは、ペスチャンカ鉱床に採鉱と精製プラントを稼働させ、年間7,000万トンの銅鉱を採鉱し、140万トンの銅を生産する予定。鉱山寿命は20~25年で、2027年の稼働を目指す。総投資額は55億ドルで、第1段階では銅や金、銀、第2段階ではモリブデンの精鉱も行う計画だ(ロシア極東開発省ウェブサイト9月2日)。

しかし、チュコト自治区からの輸送は陸上インフラが整備されておらず、北極海ルートを利用する。年間を通して安定した利益を上げるためには、砕氷船や砕氷仕様の貨物船が必要となる。カズミネラルズは北極海ルートの貨物輸送が増加した場合に輸送船の傭船が滞るリスクを回避するため、ロスアトムにカズミネラルズ専用の砕氷船と4万トンクラスの砕氷能力を持つばら積み貨物船3隻の建造を依頼した。建造費用は、原子力砕氷船の場合600億ルーブル(約900億円、1ルーブル=約1.5円)、ばら積み貨物船は1隻当たり36億ルーブル。資金調達について、ノバチュク取締役会長は、ロシア国内の金融機関から70~80%を、残りは自社資金で補うとしている(クルシブ9月14日)。

(増島繁延)

(カザフスタン、ロシア)

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