トヨタ、ハイブリッド車生産に1億ドル投資へ

(パキスタン)

カラチ発

2021年09月15日

トヨタ自動車は9月8日、パキスタンでのハイブリッド車(HEV)生産に今後3年間で1億ドルを投資すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日にイスラマバードで、松田邦紀大使およびアブドゥル・ラザク・ダウード商業・投資首相顧問ら主要経済閣僚同席の下、イムラン・カーン首相への報告も行った。

投資額は、カラチの合弁会社インダス・モーター(IMC)で製造されるHEVの生産にかかるコンポーネントの現地生産化、工場拡張、生産体制確立に向けられる。2023年内の生産開始を目指す。

同社は今回の発表の中で、車種、台数については明確にしていないが、IMC副会長の柳伸治氏はジェトロの取材に対して、「車種については、中韓系メーカーも含めた他社の車種や価格帯を見ながら決める。現在のトヨタ最新モデルを投入する。HEV専用車だけでなく、HEV車とガソリン車の両モデルを持つ車種も選択肢となる。台数については、1万5,000台から2万台ぐらいにはなるだろう」と語った。

パキスタン政府は、2030年までに温室効果ガス排出量を2014/2015年度比(年度:2014年7月~2015年6月)で最大20%削減することを目標にしている。その達成に向けて、植林から水力発電所建設、電気自動車(EV)導入まで幅広い政策を実施(2021年6月8日付地域・分析レポート参照)。2020年に発表した「2020-2025年EVと新技術政策PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」では、対象にEVのみならず、全てのタイプのHEVや燃料電池車などの電動車を含めた。さらに2021年7月には、EVとHEVの各種税金を減らし、特にHEVについては、売上税率を通常の17%から8.5%へと大幅に引き下げた(2021年6月22日記事参照)。柳氏も「この売上税減税が大きく、投資の背中を押した」と語った。

パキスタンは、電力インフラが脆弱(ぜいじゃく)で停電が多く、電気料金も高い。EV充電インフラも普及していない。政府は、EVよりもHEVを温暖化対策の現実的な選択肢として推進しているとみられる。

(山口和紀)

(パキスタン)

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